インターネット通販の急増で、宅配業は大忙しとなった。ドライバー不足や長時間労働が問題になり、業者は対応に頭を痛めているようだ。日本の大手通販では翌日配達は当り前、その日のうちに届ける事も可能らしいが、過剰労働を強いてまで、そんなサービスで売る必要があるのだろうか。今年の春闘で、ある宅配業の労働組合が、取り扱う荷物の量を抑えるよう経営側に要請したという話は、ドライバーたちの悲鳴にも聞こえる。
一方、長距離トラックの運転手不足を追い風に、貨物列車が今、注目を浴びているという。1本の列車の輸送量は大型10トントラック65台分というから驚く。その上、二酸化炭素(CO2)排出量はトラック輸送の8分の1と環境にも優しいと、何ていいことづくめなのだ。
旅客用の夜行列車が次々姿を消す中、夜のJR東海道・山陽線では、約50本の貨物列車が行き交うとか。その中でも、大手通販の宅配便から撤退したという佐川急便の専用列車は、最高時速130キロのスピードを誇る。従来の、機関車が貨車を牽引するのではなく、前後2両ずつのモーター付き電車が貨物車両を間に挟んで走るから、高スピードが出る。東京 大阪間は6時間強で走るという。
昔々、蒸気機関車やディーゼル機関車に引かれた貨物列車の長い列を踏切で待つ間、何十台と数えていた記憶がふと蘇る。
今後も専用列車を走らせる運送会社やメーカーなどは増え、「モーダルシフト」(交通・輸送手段の転換)が進むという。運転手不足解消とともに地球温暖化対策、一石二鳥のこんな話は心躍らされるニュースである。
地球温暖化といえば、気温の上昇が飛行機の離陸に影響があるとは知らなかった。
気温が上がると空気の密度は低くなり、翼が生み出す浮力が小さくなるそうだ。特に暑い日には燃料や乗客、貨物の積載量を削減しなければ離陸出来ないという状況が、今後数十年のうちに起こると、コロンビア大のチームが警告する。実際、アリゾナ州の空港で先月、49℃を記録し、安全基準を上回ったため43便が離発着を見合わせる事態になったという。地球温暖化の脅威はもうそこまで来ているのだ。【中島千絵】