同中学は毎夏、礼文高の生徒の訪問に合わせて、書道や茶道、華道、着物の着付け、アニメなどの日本文化を紹介する「ジャパン・デー」を開き、親睦を深めている。イベントは今年で5回目で、初の試みという音頭は、同校で教え、ジャパンデーのコーディネーターを務めるテッド・デバージリス教諭が「姉妹校の絆を強めたい」と発案した。
ギネスブックには、昨年までに2000人が同時に盆踊りを踊った記録があり、さらに今夏4000人近い新記録が日本で樹立されたことを同校は、把握したという。全校生徒は1400人余りのため、記録更新を望むのは難しいと判断。また、浴衣着用も基準が高かったという。そこで、ギネス社と話し合い、違う新しい方法を打ち出した。
音頭の振り付けは、本番2週間前から始まった。日舞の「寿の会」のクリスティーン・イノウエさんがまず、体育教師6人に教え、教師が放課後に生徒に踊り方を伝えた。イノウエさんによると、参加した生徒の誰一人として、音頭を知らなかったという。「リトル東京ダンスクラブ」は、同校からの協力要請を快諾。二世週祭の街頭音頭で使った櫓を組んで、太鼓演奏でも励まし、記録樹立を後押しした。
室内でのジャパンデーのプログラムを終えた生徒が、校庭に現れ、いよいよ本番。うちわを片手に、太鼓奏者の衣装に見立てた出立ちで、鉢巻きを締め、記録達成へ、気合いを入れた。ギネス記録のチャレンジとなると、メディアの関心は高く、チャンネル7やロサンゼルス・タイムズと地元の新聞社が取材に駆けつけ、生徒のモチベーションは高まった。
音頭は、ほら貝を合図に一斉にスタート。教師約50人と保護者が見守る中、参加者は5重、6重の大きな輪を作り踊った。イノウエさんによると、同中学の生徒は、この日まで、練習でしか踊ったことがなく、本番はこれが初めてといい「ハラハラしながら見ていた」という。礼文高の遠藤海生さんは「最初は慣れることができず心配したけど、徐々にしっかりと踊ることができた」と、話したように、生徒は徐々に調子を上げ、息を合わせて踊り、練習の成果を披露した。
礼文高の生徒は、この日のために、日本で練習を重ねたという。渡辺リリカさんは「こんな大人数で踊ったのは初めてで、練習とは違う不思議な感じだった。アメリカ人と一緒に踊り、いい経験になった」と述べた。遠藤さんは「とてもいい思い出になった。踊り切って、みんなが盛り上がり喜んでいたので、よかった」と語った。
イノウエさんは「みんな、よく揃って踊ってくれたから、とても、とてもうれしい。1392人が同時に踊ったことは、本当にすごい」と喜んだ。「このビデオを日本の人々に見てもらいたい。アメリカ人がすごいことをした、と関心するだろう」と述べた。
グレッグ・ミラー校長は、生徒が踊り終えると、諸手を挙げて歓喜したたえた。「ジャパンデーを催すことにより、レブンと交流しているが、今日のギネスチャレンジで、われわれ姉妹校と、日本とアメリカの両方のいい関係が、いっそう強まった感じがして、うれしい」と喜んだ。両校の姉妹関係は、礼文高の訪米プログラムをコーディネートする阿岸明子さんが取り持ったことを強調し「この素晴らしいイベントを企画し、生徒に一生の思い出を残してくれた、アキコと日系社会の人々に感謝したい」と述べた。
デバージリス教諭は、ギネス挑戦について、昨年訪問した礼文高の生徒が、よさこいソーラン音頭を披露し、その力強さに刺激を受け、何かをしようと思ったといい「生徒とすべての職員、レブンの生徒を巻き込んで、とても苦労が必要な大きなプロジェクトだったが、やったかいがあった」と、充実感をにじませた。生徒が踊り終えた瞬間を「みんなが大喜びしたので、とてもうれしかった。とても思い出深く、われわれにとって歴史的な日となった。参加者みんなが、一生忘れられない思い出になったと思う」と興奮気味に話した。教え子に向け「礼文高校の生徒と一緒に、歴史を作ったことを誇ってほしい」と願った。
ギネス記録の公式認定は申請後、約1カ月かかる見込みで、バーバンクと礼文の生徒は、吉報を待つ。