口を開けば「つまらない、退屈だな」―とネガティブなフレーズが呪文のように出てくる今日この頃。そんな時、職場の台湾人はピアスを一緒に作ろう! と誘ってくるし、イギリス人の同僚はコーヒーを飲みに行こう! と気分転換を促してくる。何気ない「アクション」が、心の渇きを潤してくれる。
 日々扱う記事に元気をもらうこともある。それは裁判の記事。提訴する原告や弁護士たちに思いをはせる。裁判には時間もお金もエネルギーも必要。それでも現状を改善したい、とアクションを起こす姿に尊敬の念すら覚える。
 最近は「格差」の問題がよく取り上げられている。日本の労働者の4割を占めるといわれる非正規労働者と正社員との格差。昨年9月には、日本郵便の契約社員たちが起こした訴訟の地裁判決が出た。今は運送会社や物流会社などの非正規雇用の社員たちが戦っていて、両者の待遇格差はどこまで許されるのか最高裁が初めて判断を示す見通しになった。その判断は「同一労働同一賃金」の実現を掲げる政府の議論に影響を与えそうだ。
 私の周りはどうか。今の会社は大企業。約1割が非正規雇用だそうだ。彼らの多くが安い時給で働き、交通費の支給もなければ、家賃の補助、ボーナスもなく、3年で雇い止め。組合に加入できず労使交渉もできない。正社員との待遇ギャップはあまりにも大きそうだ。
 王妃マリー・アントワネットが、飢えに苦しむ民衆を見て「パンがなければケーキを食べればいいのに」とつぶやいたのは有名な話。それが市民の怒りを買い、フランス革命になったといわれている。恵まれた正社員も非正規メンバーの苦しみは理解できないのだろう。持てる者は持たざる者のことを考えない、いや考えられないのだろう。
 じゃあ、そんなことを日々観察して、見たり聞いたりしている私はどんなアクションが起こせるだろう。
 十分な権力と発言権があれば全正社員の給与とボーナスを一部カットして、契約社員の補助に充てることを提案。社説で上から目線で論評するだけではなく、自社の足元から改革。マスコミ業界の先陣を切って社会のお手本となる。やっぱ、これしかない!【中西奈緒】

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