打って、投げての期待通りの活躍で、野茂以来の大勢の日本人ファンを球場に呼び込んで沸かせていた大谷が、故障者リスト(DL)入りした。まだ23歳で、腕を痛めるには若すぎる年齢。ショックの一言。
 最後の登板を私は、球場で見ていた。投球練習を終え、五回が始まる前に突然、ベンチから監督らがマウンドに駆け寄ると、早々と降板してしまった。試合途中の球団の発表は、中指のまめの影響ということだった。「あれ?」。試合中に指を気にする素振りは見せてなかったので、首をかしげた。だが翌日のメディアへの発表で納得した。肘の靱帯損傷。打たれた時も気丈に振る舞って記者会見に応じていたが、この日は無理もない。開くことはなかった。
 球団は、大谷のために先発陣を増やし、登板間隔は2日多い中6日に設定し、健康面に配慮していたが、恐れていたことが起こった。
 DL入りは10日間だが、靱帯の修復には数カ月かかるらしい。その間にファンが期待することは、みな同じ。「二刀流」と表現される大谷には、もう一本の刀が残っている。この指名打者のみのプレーにも球団は慎重で、われわれはただ祈って待つのみ。期待を抱く球宴出場もそう。
 今季は大谷、ダル、田中、前田の先発4投手がDLに入り、日本人ファンは辛抱強く待っている。来月には、大谷をモデルにした打者と投手が対になった首振り人形が球場で配布され、ファンの多くが早くからチケットを押さえ楽しみにしていた。その日は、日系の団体が大挙して観戦に訪れるそうで、さぞ心配していることだろう。ドジャース、エンゼルスにもまた、けが人が多く、誰かが戦列に復帰したと思えば、次は誰かが故障する災難に次ぐ災難。LAとOCのファンも、けがした選手と同様に忍耐強さが求められる日々が続く。
 そして今一番けがをしてはならないのが、サッカーW杯日本代表だ。大会間近で監督交代のゴタゴタがあり、チームも連敗。大会前の最後の実戦でようやく勝ち、調子を上げ大会に臨む。二刀流に送ったエールを、日の丸を背負って戦う日本代表に捧げよう。【永田 潤】

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