カリフォルニア州北部ビュート郡の町パラダイスで発生した山火事「キャンプ・ファイア(Camp Fire)」で19日までに少なくとも77人の死亡が確認され、過去全米で発生した山火事でもっとも多くの犠牲者を出した山火事となった。当局が発表した行方不明者数は1276人に増え、被災地では懸命な捜索活動が行われている。一方、加州南部マリブ近郊で発生した山火事「ウールジー・ファイア(Woolsey Fire)」は19日までに94%が鎮火。今週は降雨が予想され、当局は土砂崩れへの警戒を強めている。【吉田純子】

 キャンプ・ファイアでは同日までに住宅1万1713棟、商業施設472棟が全焼。これまでに66%が鎮火した。
 山火事は8日午前6時半ころ、パラダイスにあるキャンプ・クリーク・ロード付近で発生。発生場所にちなみ「キャンプ・ファイア」と名付けられた。極度の乾燥と強風により、火勢は瞬く間に拡大し、住民は逃げる時間がなかったとされている。犠牲者の多くが家屋の焼け跡や、逃げる途中で火の手に巻き込まれたと見られる遺体が車内や庭などで発見されている。行方不明者は1千人を超えているが、破壊的な被害のため捜索活動は難航している。
 17日には加州のジェリー・ブラウン知事と6日の中間選挙で次期加州知事に選出されたギャビン・ニューサム副知事が同行する中、トランプ大統領が現地を視察した。
 一方、加州南部マリブ近郊で発生したウールジー・ファイアは19日までに94%が鎮火した。今週には降雨が予測されていることから、当局は山火事の影響を受けた住民に対し、土砂崩れに備えるよう呼び掛けている。
 ウールジー・ファイアの19日までの延焼面積は9万6949エーカー。住宅など建物1500棟が全焼し、住民3人が死亡した。
 全米気象局によると、21日にもベンチュラ郡やロサンゼルス郡で降雨が予測されており、山火事の影響を受けた地域では激しい雨になる可能性もあるとして当局は土砂崩れを警戒している。特にパシフィック・コースト・ハイウエーやキャニオン・ロード周辺では注意が必要だとしている。
 昨年12月にベンチュラ、サンタバーバラ両郡で発生し約28万エーカーが延焼した山火事「トーマス・ファイア(Thomas Fire)」では、山火事発生からおよそ1カ月後の今年1月、大雨により土砂崩れが発生。山火事の影響で樹々が焼失し、同地区では地盤がもろくなっており、この土砂崩れで21人が死亡した。
 大雨を警戒し、サウザンドオークスやオークパークの消防局では住民にサンドバックを提供している。

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