日本に里帰りした時、アメリカではお目にかかれない物や事、そして忘れかけていた日本の良き習慣に感激することが多い。その一つが、便利さだ。発達した公共交通機関のおかげで、車に乗らずにすみ、歩いてどこへでも安全に行ける。公衆トイレ、自動販売機、ATMが多くあるため、出先でも心配は無用。その「便利」の代表格が、その名の通りのコンビニエンスストアだろう。
小さな店鋪だが、弁当、おでん、お茶、コーヒー、お菓子、デザートに至るおいしい食べ物をはじめ、新聞、雑誌、雨傘、乾電池、薬、洗面用具などなど品揃えは豊富。さらに宅配便の発送・受け取りまででき、生活に密着している。そして、当たり前とされる24時間営業も便利なのだが、それは消費者にとって都合がいい半面、頭を悩ませている経営者もいて先日、問題が明るみに出た。
大手コンビニのフランチャイズのオーナーが、人手が確保できずに深夜営業を諦め、本部ともめている。深夜担当が立て続けに辞めたため店主はその穴を埋めるために不休で店に立ち続け、過労死寸前まで追いやられ限界を感じたといい、やむを得ず営業時間の短縮に踏み切ったのだろう。それでも早朝6時から深夜1時まで、1日19時間営業は立派。そのまま時短営業を続けると、契約を解除されるばかりか違約金を請求されるらしい。その額なんと約1700万円。同業者はもとより、世間一般からも同情が寄せられた。
少子高齢化の波が押しよせ、人材不足が深刻化する日本。「寝る間を惜しんで…」などは、遠い昔の話。豊かな時代に生まれた若者には通じず、賃金が深夜割増しになろうと、夜は寝るもの、と考えるのは当然。立地条件にもよるが、そもそも深夜の2時や3時に何人の人が、コンビニを利用するのだろうか?
こうした労働力不足や人件費の高騰、過酷な長時間労働などの難題に対し日本では今、「働き方改革」が叫ばれている。一方のアメリカは、残業する人はほとんどいない。日米の大きな差は、どこにあるのか知りたい。【永田 潤】