終活にとりかかってみている。といっても、リビングウィルとかでなく、その前段階、持ち物の整理といったところ。とにかく、モノを減らしてスッキリさせたい。スーツケースひとつで渡米した身だ。スーツケースひとつに戻せるのか。この20年間で随分モノが増えた。断捨離のセンセイ方は1年間使わなかったモノは捨てられると言うのだが…。
出てくる出てくる、アルビンエイリー(発音に自信がないから、劇場窓口で前売りを買うのにメモを見せたらGood!とほめられたっけ)、マルセルマルソー、ライオンキング、ナベサダ、秋吉敏子その他もろもろ、プログラムやチケットの半券を見れば当時のことが蘇る。
省エネの一環でLADWPの「Refrigerator exchange program」に応募して新しい冷蔵庫をゲットしたこともある。10年以上使っていることなど5つほど条件があった。JUROR BADGE(陪審員召喚状)が届いたときは、英語も話せないのにどうして陪審など出来ようか? とドキドキしながら、質問に答えて提出した。日本人の大家さんは無職の私を破格の家賃で入居させてくれたが、家族会議で安過ぎだろ? と反対され、それでも350ドルが375ドルに落ち着いたいきさつもあった。追突事故にも2度遭っている。ケーブルTV、電話、ガス、電気水道会社への初めての申し込み。DMV、SSカードの申請も在留届も全部コピーをとってある。(事務ミスが多い国ゆえのもしもの備えである)
ファイルを見るといろいろ思い出す。こんなにたくさんの記憶は普段、脳内のどこに隠れているのだろうかと不思議な気分にもなる。これで見納めて、全部捨てることが出来れば、ことは簡単だけれどやっぱり、日本の家族の前でアメリカはこうだったと、これらを見せてとうとうとしゃべりたいのだ。私の人生の20年の特別な経験なんだもの。
手紙、カードの類も捨てられない。それに日記。趣味のために集めた材料が何箱も。あーあ、私はゴミ屋敷予備軍かもしれない。執着心を断ち切らなければ…
終活とは—人生の終わりをよりよく締めくくるための準備をし、よりよく自分らしく生きていくための活動—と書かれていたから、まッ、いいか?【中島千絵】