同日本語スピーチコンテストは、米国内で日本語を学習しているノンネイティブの高校生に日本語スピーチを発表する場を提供し、日本語学習者の意欲を高め、日本や日本文化への理解を求めることを目的として毎年開催される。優勝者は、全米代表として国際大会へ参加する機会が得られ、日本語による国際交流を推進する。
今年の優勝者は、サン・ディエゴ地域の代表として出場し「おばあちゃんとの約束」を発表したキャニオン・クレスト・アカデミーのゼーン・マーカス・アドラムさん。アドラムさんは中学1年生の時、がんを患った祖母と「日本語の勉強を続ける」という約束を交わした。日本語の上達に伴い自信がつくなど気持ちに変化が起こる。日本旅行で母のために通訳をした際の母の驚く様子を表したり、祖母との精神的結びつきを描いたりしたことで一段と印象を強めた。
朝倉巨瑞実行委員長は「 年を追うごとにスピーチ内容が深くなっているように感じる。インタビューでは大人が答えるのも難しいような質問に日本語で回答しているし、今まで以上にレベルが高い」「この大会へ来た全員、みんな自分が優勝すると信じきっている。練習を積み重ね自信を持って参加している」と感嘆した。
「女性の社会的平等」や「日本の皇室」「メンタルヘルス」などテーマは広範囲に及び、出場者の着眼点、問題意識の高さと深い考察にそれぞれの個性がうかがえた。選考委員から受けた難解な質問にも一生懸命答える出場者には、客席から温かい拍手が送られた。
同基金の阿岸理事長は、この日本語スピーチコンテストが「日米国際交流の担い手を育成するのに重要な役割を果たしている」と述べ、「日英両語に堪能な生徒を選出すること、選ばれた生徒が訪日の際には日本人と問題なくコミュニケーションがとれることも大切」と補足した。
【麻生美重、写真も】