日本に住むと日本が安全で良い国だと日常的に体験し実感する。その例を2、3。日本の人たちは当たり前と感じ不思議とは思わないが、米国から来た僕は比較する複眼があるので日本の安全神話は世界では当たり前ではなく日本が安全に恵まれたむしろ特殊な国だと分かる。
 では身近な具体的体験例の一つ。米国から来た友人が東京都内でJRパスを失くしてしまった。米国で払い込んで予約し日本で入手した折角のJRパス。これから新幹線などで自由に旅行しようという貴重なJRパスだった。米国から来たから「こんな物を拾っても届ける人はいないだろう」と諦めていた。結果は拾った人が東京駅のみどりの窓口に届けてくれ、そこから名前や連絡先を調べ本人に戻って来た。本人は大感激だった。
 別の例はこれも米国から来た仲間と佐賀県に旅行した時、仲間が財布を失くした。中身は8万円ほどの現金で約800米ドルに相当する。米国だったら現金だから戻って来るのは考えられない。結果を言えばこの財布は拾った人がその近くの県庁に届けてくれて、そこから回って滞在中の本人まで戻って来た。これを聞いて日本の人は良かったと思うだけで別に不思議とは感じず当たり前と受け止める。米国だったら奇跡だが。
 次の例。神奈川県の郊外の山へハイキングに行った時のこと。電車を降りて次にバスで山の麓まで移動。これを降りてから町の外れの坂道を登って歩く。道の両側の所々に土産店があるが人出が無い週日で皆閉まっていて誰も歩いていない。その途中に現地農家の野菜と果物の無人販売台があった。野菜と果物が袋に入って並べられ値段が付いている。代金を入れるカゴが無造作にオープンに置いてあり大分お札が置かれている。人通りが無い中で買う人がきちんと代金を置いているのだ。盗む人もいない。これも日本以外では先ず無理で、誰も見ていなければ金も品物も盗まれるだろう。
 実はこれは東京の郊外の街角でもよく見かける無人販売所で近隣の農家は作物を信頼ベースのこの無人直売式に置き平穏に運営している。気持ち良い日本の光景だ。【半田俊夫】

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