テニスの四大大会で2大会連続優勝し、つい最近まで世界1位の座にいた大坂選手が、生まれた大阪で2週間ほど前に開かれた大会で国内ツアー初優勝を果たした。日本語で「ありがとうございました」とあいさつし、「生まれた場所で優勝できて本当に特別」と、満面の笑みを浮かべた。
だが、その数日後、日本の女性お笑いコンビがステージで「大坂選手に必要なものは?」と問い、その不適切な答えに世間から非難を浴びた。大坂選手の茶褐色の肌を「あの人、日焼けし過ぎ」と、海外では取り返しのつかないことになる恐れがある笑いのネタにしてしまった。2人は猛省したが、後悔先に立たず。
掘り返したくないが今年の初めに、大坂選手の日本のスポンサー企業が大坂選手をモデルにしたアニメCMを制作した際に、肌の色を極端に薄くした。これも物議を醸し出し謝罪。日本にいる人は、こういうことに気を配らず、在米のわれわれには信じられない。こんな問題は、今回が最後であることを願う。
前出の「笑いにならなかった」ネタに対し、大坂選手は自身のツイッターで「日焼けし過ぎ?」と反応。スポンサーを受けブランドアンバサダーを務めている日本の化粧品会社の日焼け止めの商品名を宣伝する形で「彼女たちは、私が(同社の日焼け止めのおかげで)日焼け知らずということを全くしらないのね」。コート上で見せるのと同じこの鋭い「リターン」は、大坂選手の優しい性格がにじみ出ている。相手を批判することなく冗談気味に綴ったのは、同じ女性で若い2人の将来を思ってのことだろう。
大坂選手は育ったアメリカに活動の拠点を置き米国代表を選ぶ道もあったが、生まれた日本を愛して選択してくれ本当にありがたく思う。来年の2020年、母国開催の東京五輪出場に意欲を示していて、優勝を目標にしている。先ほどのお笑いコンビに再チャンスを与えもう一度、大坂選手をネタにして名誉を挽回してもらいたい。「大坂選手に必要なものは?」。もちろん「東京五輪の金メダル!」【永田 潤】