素晴らしい功績を残すのは必ずしも人間だけとは限らない。時として動物がわれわれを支え、そしてはるかにしのぐ活躍をすることがある。
 現在カリフォルニア州各地で猛威を振るっている山火事。毎年この時期になると、季節風と極度の乾燥などが影響し、山火事が多発する。今年はその中に一風変わった陰の功労者がいた。それはヤギ。
 先月シミバレーで発生した山火事「イージー・ファイア」では、ロナルド・レーガン記念図書館のすぐそばまで火の手が迫った。同図書館の敷地内にはレーガン元大統領の墓地や政権期の公文書なども保存されている。炎が燃え広がったらただ事ではない。
 しかし、山火事を未然に防ぐため、同図書館では今年5月に500頭のヤギを用意した。このヤギたちが図書館周辺に広がる13エーカーの土地に生えている草を食べ、万が一の事態に備えた。
 このヤギたちは、山火事の被害拡大を予防するためにヤギの貸し出しを行う地元企業からやってきた。費用は1エーカーにつき約1千ドル。近年頻発する山火事の被害を最小限にくい止めるためにも、今後さらに需要が増えるビジネスになるかもしれない。
 一方、先月米軍が行ったイスラム国の最高指導者バグダディ容疑者への急襲作戦でも軍用犬の活躍が報じられたが、犬の人間への貢献も忘れてはならない。報道によると、こうした軍用犬は1匹あたり150人から200人の兵士の命を守るとされ、軍務を離れた軍用犬は法律で退役後の生活が保障されているのだそうだ。
 時代はさかのぼるが、エルバ島に島流しになったナポレオンが島から脱出する時、溺れかけていたところを海難救助犬として知られるニューファンドランド犬に助けられたというのも有名な話。「余の辞書に不可能はない」と言ったはずのナポレオンだが、実は泳げず、不可能があったのでは?と突っ込まれる由縁にもなっている。
 忠誠心があり、任務遂行のため危険を顧みず命をかけて人間を守る犬や、山火事の拡大阻止に貢献したヤギ。あまり日の目を見ることがない彼らの姿だが、忘れてはならない活躍ぶりだと思った。【吉田純子】

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