日本に住み毎日の物事に慣れてくると海外との比較眼を忘れて、日本にある物が何でも普通で当たり前と感じるようになってしまう。そんな時、米国人の目で見ると「信じ難く羨ましい物事が日本に溢れているのだ」と改めて気づく。それを思い起こさせてくれたのが、ご存知の読者も多いと思うが米国人の文筆家が4月にウォール・ストリート・ジャーナルの専門投稿欄に掲載した「日本はあなたを笑顔で迎えてくれる」という題の一文だ。書き手は米国や日本や中国の地方を回ってエッセーを書いている米国人ジャーナリストで、日本はサービスに溢れた素晴らしい国だと書き連ねている。彼が賛美する内容に日本人なら当たり前のことと笑ってしまうと同時になるほどと思う事柄ばかりなので少し紹介したい。
その一つはこの筆者が東京からNYまで飛んだ全日空機内で客室乗務員が皆、笑顔に溢れているのにいたく感じ入ったようで「気持ちのこもった笑顔は日本のサービス業全体に広がっている」と書き、試しに「ユナイテッドやアメリカン航空で日本に飛んで、全日空との違いを実感して見なさいよ」と米国の読者に述べている。
次は公衆トイレについてで、まずNY交通局が最近4千万ドルをかけてセントラルパークの西の駅を大改造したが、駅にはトイレが無いままで、多くの人々の公衆トイレに対する要求は無視されてしまうと記し、一方日本では全ての電車の全ての駅にトイレがある、またビジネスの建物には殆どの場合綺麗な公衆トイレがある、と書いている。確かにLAの電車の駅にはトイレが無かった。日本では当たり前とつい思うがどの線のどの駅にもトイレがあり困ることがなく、しかもどれも清潔でピカピカだ。大の方は今では殆どが最新のシャワーレットとかいう温水洗浄便器が設置されている。手洗いの水も自動で出る。この筆者は「日本人は異常なまでに清潔さを求めるが、きれいに使われているトイレから日本人の礼儀正しさが読み取れる」と書いている。比較眼で見ると確かに日本の公衆トイレは素晴らしい。
紙面も尽きるので本稿は次回に続けたい。【半田俊夫】