日本酒に魅せられた3人のアウトサイダーが異文化の中で日々挑戦する姿を映し出した「カンパイ!世界が恋する日本酒」は、ハリウッドの映画ジャーナリストとして20年以上のキャリアを持つ小西さんの初の長編作品。登場人物は「日本で初の外国人杜氏」「日本酒の伝道に尽くす米国人」「海外で販路を開拓する酒造メーカーのオーナー」。三者三様の熱意と葛藤が、日本の四季や海外の風景を織り交ぜた映像とジャズ音楽でテンポ良く描き出される。小西監督は「自分もアメリカではアウトサイダーなので異文化で挑戦する彼らに共感し興味を持った」と語る。
イベント終了後は酒スペシャリストのジェシー・ブラウナーさんと小西監督による「酒エキスパート・トーク」が展開された。ブラウナーさんは、LAダウンタウンのレストラン「Bestia」のソムリエで、映画に登場する日本酒の伝道師ジョン・ゴーントナーさんのセミナーを東京で受講し終了した日本酒の専門家でもある。米国人の料理人が作る割烹料理の「Shibumi」レストランなどと組んで日本酒の文化・市場拡大に取り組んでいる。
真剣な眼差しで2人の話を聞き時折うなずく人や、2種類の酒を交互に口に含んで味を確かめ納得した表情を浮かべる人もいて、参加者それぞれが奥深い日本酒の世界を垣間見た様子だった。
ロングビーチから来たチャーレスさん夫妻は同館からeメールで送られた案内を通じイベント開催を知った。「日本酒がテーマだったので来る気になった」と話す夫のエドさんは「米国に日本酒醸造工場があるのは知っていたが、外国人の杜氏が日本で酒を作っているのには驚いた」と話す。妻のジェニファーさんは「登場人物が男性ばかりだったので、『女性は日本酒に関わらないのか』と思いながら観ていた」。女性が主人公の「カンパイ」第2弾が製作され配給元が決まるのを待っている状態と知ると「早く観たい」と表情を明るくした。
日本政府は先ごろ日本酒の輸出拡大に向け、製造事業者に対する規制を緩和する方針を固めたばかり。輸出用に限り新規の参入を認め、人気が高まっている日本酒の海外展開を後押しする。
小西監督は今回の作品が日本酒ファン以外の層を日本酒市場に呼び込んだ日本での実績を強調し、日本酒業界の女性が困難に打ち勝ち活躍する姿を描く続編「カンパイ!日本酒に恋した女たち」の米国公開を期待した。詳細は―
http://kampaimovie.com/【麻生美重、写真も】