世界に脅威を与える新型コロナウイルス。感染は瞬く間に世界に広がってしまった。日本が騒ぎ出したころ、「対岸の火事」とまでは楽観していなかったが、いつかやって来るだろうと覚悟していた。しかし、これほどにまで、日常の平和を奪われるとは…。
 WHO(世界保健機関)がパンデミックを表明、国家、各自治体は感染拡大の防止策に講じ、大統領、州知事、郡スーパーバイザー、市長が緊急命令を発するたびに市民は反応する。ことに食料の備蓄に対しては過敏だった。テレビのニュースでは、入場制限を受けた長蛇の列、カートには溢れんばかりの品々が映し出された。奪い合いのようなすさまじい光景を見せられると、われ先にと、買いに走る。パニック寸前だった。
 ソーシャルメディアは、災害など非常時の情報入手や安否の確認に威力を発揮するが、各人が商品棚の空っぽ状態の写真を次々に掲載すると、焦らないはずはない。心理が間違った方向に進むと抑制は効かない。そして誤報とデマは、本当に迷惑だった。
 週末になってようやく食料品の買い出しに出掛けた。ところが、その前週に同じ店で見た欲しい冷凍食品と缶詰はこつぜんと姿を消していた。空っぽの棚を写真に納めると空しさは募るばかり。真逆の欲しくはない売れ残りに目を向けると、アメリカ人の好みがよく分かり勉強になった。訪れた3カ所のチェーン店では若干の地域差があるが、オーガニックとエスニックが目立った。メキシカンでさえもである。その中で、日本人として誇らしく思ったのが、インスタントラーメン。他の2国から輸入されたラーメンが売れ残る中、見事に完売。落胆の中で、元気を少し取り戻すことができた。
 感染拡大は誰の責任とも言えず、今は感染症の発生の国を責めている時ではない。猛威をふるう悪魔に対し、全人類が団結しなければならない。同じ地球の住人として、喜び、悲しみをともにし、助け合わなければ終息は来ない。この先、まだまだ長く忍耐が必要だろう。暗い世の中で、気持ちを明るくし、皆でこの苦しみに耐え、世界最強の見えない難敵をやっつける。【永田 潤】

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