国勢調査の成功を期し、士気を高める自治体やコミュニティーの代表
 今年は10年に一度の国勢調査の年。調査開始の12日、LA郡での国勢調査の成功を願うキックオフイベントがケネス・ハーン庁舎(LA郡庁舎)で催された。当初予定されたエリック・ガーセッティー市長をはじめ郡参事や自治体議員らの出席は新型コロナウイルスに関する急務で取り止めとなりイベントは縮小されたが、自治体やコミュニティー団体の代表が一致団結しての成功を誓い、メディアを通じて国勢調査への協力を住民に呼び掛けた。国勢調査を案内する手紙は12日から順次に各家庭に郵送されている。

今回初めて導入された回答方法のずらりと並んだタブレット型端末
 リトル東京サービスセンターのコミュニティーオーガナイザーの桂木靖恵さんは、日本語を話す高齢者などが調査に戸惑わないよう支援している。今年の調査は史上初めてオンラインまたは電話による回答を推奨しているが、インターネット環境やスマートフォンを持たない人には大変かもしれない。回答を徹底することは簡単ではないが、「日本人、日系人の数を正しく把握することは、日本領事館の活動にも大切なことなので、駐在などで一時的に居住する人も含めてぜひもれなく回答してほしい」と話した。
 郡のチーフエグゼクティブオフィスに勤務するジェイソン・タジマさんは、国勢調査チームの一員として、アジア系米国人を含む「難易度が高い集団」への対策に詳しい。 アジア系住民からの集計が難しい理由は、言葉の壁、複雑な居住形態(例えば数世帯が同居しているようなケース)、調査を理解できない(例えば10年以内に移民した人)、近年の情勢から調査への恐怖や不信感など、各種の困難が挙げられる。「そのようなグループに対して、国勢調査の集計がいかにすべてのプログラムにとって大事かということ、連邦予算だけでなく、健康、交通、学校、シニア、すべてのローカルな日常に影響するというメッセージを届けている」
タブレット端末を利用した実際の回答の画面
 調査は7月末まで収集され、来年3月には結果が公開される。データはビジネス利用も含め、誰でも閲覧、利用することができる。「例えば民間の会社が日系スーパーを日本人の多い地域に出店したいと思ったら、国勢調査の結果を参考にすることができる」と説明する。
 タジマさんも今年の国勢調査では回答方法が電話とオンライン中心になったことが大きな変化だと強調する。「電話回答では日本語通訳オペレーターを利用でき、オンラインでは日本語で回答ができる」と話す。
 そこで郡オフィス内に用意された「体験実施コーナー」で、実際にオンラインで回答してみた。タブレット型端末のスクリーンで日本語を選び、氏名、生年月日、現住所を入力し、人種に関する質問に答えた。1人住いの回答だったせいもあるが、数分でとても簡単に終えることができた。
 この「体験実施コーナー」は、図書館やコミュニティーセンターに設置して国勢調査の情報を伝えられるよう、可動式の造りになっている。ボランティアの助けを借りて、来場者がその場で調査回答ができる機能も備えている。新型コロナウイルスが終息してコミュニティーの集会などが再開されれば、活躍することだろう。
 ロサンゼルスは全米でも特に調査が難しい都市の一つだという。だが、日本の国勢調査が5年ごとなのに対して米国では10年ごと。もしも間違った集計で連邦予算が減らされてしまったら、次にそれを是正するには10年も待たなければならない。
 日本人と日系人が正しくカウントされるように、積極的な参加が望まれている。
 国勢調査局のウェブサイト―
 www.census.gov/
 リトル東京サービスセンター―
 www.ltsc.org
【長井智子、写真も】
タブレット型端末からの回答方法を案内するボランティア女性

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