「仕事で長い1日を過ごしたレベッカさんが帰宅すると、ドアの鍵が壊され私物が床に散乱していた。息子の写真は盗まれており、すぐレベッカさんは、彼女を虐待していた人間がアパートに侵入したことを知った。すぐさま大家に助けを求めに行ったが、虐待をしていた人間が侵入したことが証明できなかったため、大家はドアの鍵を修理することを拒否した。
レベッカさんと息子のサム君は、もはや自宅は安全ではないと感じていたが、頼れる家族や友人もいなかった。助けを求めたいが、どこに行けばいいのか分からずに、愛犬のスポットとともに途方に暮れていた。その後レベッカさんは勇気を出してレインボー・サービスの24時間ホットラインに電話をかけて助けを求めた。レベッカさんはレインボー・サービスが自分たちにとって味方となる団体であることを確認し、すぐに緊急シェルターに移っている。
レベッカさんの話は、家庭内暴力の被害者に起こるペットの問題にも言及している。
ペットフード事業を展開するピュリナ社の「パープル・リーシュ・プロジェクト」によると、家庭内暴力の被害者の48%は、ペットを一緒にシェルターなどに連れていくことができないという理由から、自宅を離れられないという。ピュリナ社と動物救護団体レッドローバー(RedRover)は、このプロジェクトを通じて重大な問題への認識を高め、全ての州で、ペット可のシェルターを作るために活動している。
さらに、昨年には、オレンジカウンティ・レジスター紙が、多くのドメスティック・バイオレンスシェルターがペットを歓迎しており、飼い主が安心して安全な生活を求めて活動できるような状況を促しているという記事を掲載している。
そして、レインボー・サービスも、ロサンゼルス郡で、最初にシェルター内でペットの受け入れを開始した団体の一つである。
レッドローバーのCEOであるニコール・フォーサイスさんによると、被害者には残されたペットに危害が及ぶのではないかという懸念があるという。さらに「ペットの問題は虐待の一部。ペットを置いて家を出てしまうと、ペットのために戻ってくるように仕向けられたり、そもそもペットを、被害者が家を出ないようにするための道具として利用されたりする」と説明。いずれにしても「ペットを連れてくることは、シェルターにとっても良いこと」と話している。
「ペットは、偏見を持たない。だから被害者にとってかけがえのない支えとなる」と話すのは、レインボー・サービスのフクロダさんだ。「大人にとっても子どもにとっても、ペットはストレスを軽減してくれる存在。子どもたちは、ペットとの生活や関係性から恩恵を受けることが多いと思う。シェルターに入ると、子どもたちは学校を辞めたりして、友達や社会的なつながりを失ってしまう。さらに、片方の親とのつながりを失ってしまうこともある。だから、ペットとのつながりは非常に重要だ」
家庭内暴力被害者支援団体が、コロナ禍でさまざまなサービスを提供し、ペット可のシェルターも増えているが、重要なポイントは、虐待を受けている人が助けを求める準備ができているかどうか、ということに尽きる。
フクロダさんは、友人や知人が虐待に遭っているかもしれないと思っている人に、「まずは見守ること。特に、虐待を行っている人が家庭内にいる場合は、不審を抱かせるようなことはしない方がいい」とアドバイスしている。
「それに、その友人や知人は、まだ準備ができていないかもしれない。それはそれで構わない。あなたが取るべき最善の行動は、あなたが友人や知人をサポートするために必要な情報や知識などを得ようとしていること、偏見や決めつけをすることなく側にいることを知らせることだと思う。必要な情報を得たら、そこで友人や知人に伝えてほしい。『あなたは1人じゃない。どうか勇気を出して連絡して』と」
さまざまな被害者支援団体の連絡先は以下のとおり。また各団体は活動資金のファンドレイズを常に求めている。
※レインボー・サービス 〜Everyone Deserves Respect, Love and Safety〜
24時間ホットライン310・547・9349。
ウェブサイトー
http://rainbowservicesdv.org/
レインボー・サービスへの寄付については、ウェブサイトに記載。物品の寄付は、電話310・548・5450まで問い合わせを。特に、乳児、幼児、子ども、ティーンエイジャー、女性のための新品・未使用の衣類や消耗品、家庭用品、食料品などを受け付けている。
※リトル東京サービスセンター
電話213・473・3035、午前9時〜午後5時。問い合わせはソーシャル・サービスのスタッフまで。
ウェブサイトー
https://www.ltsc.org/assisting-people-need/
ドメスティック・バイオレンス・プログラムへの寄付は、デペロップメント・ディレクターのシャロン・カメガイ—コシータさんまで。電話213・473・3030。
※センター・フォー・ザ・パシフィック・アジアン・ファミリー
ドメスティック・バイオレンス・ホットライン800・339・3940。
日本語およびその他のアジア言語での電話応対が可能。