小栗旬といえば2019年、小東京や日系人の強制収容所を舞台にしたテレビ映画「二つの祖国」(山崎豊子原作)に主演し、日米両国のアイデンティティーに揺れる日系2世ケン役を好演、強い印象を残した。さらに昨年はロサンゼルスに長期滞在し生活していたといい、当地と特別の結びつきを感じる俳優だ。
「ゴジラvsコング」では、ハリウッド版ゴジラ前2作で渡辺謙が演じた故芹沢猪四郎博士の息子、蓮(レン)役で出演している。ハイテク企業エイペックス社に勤める蓮は、ストーリーの鍵を握るミステリアスな研究員だ。
—小栗さんはレンをどのような人物だと表現しましたか? この登場人物には映画に出てこないバックストーリーがありますか?
彼の役はキャラクターを作るのが難しくて描かれていない部分も非常に多い。ミステリアスなので、彼はどういうキャラクターなのか、分かりにくいのだけれど、父親の影響で科学者になるということに辿りついたと思うし、きっと彼の中では「父の目指すものと自分が目指すものはちょっと違うんだ」という思いがあってエイペックスというものに参加していたのかなあ、と。そう思って役を作っていきました。
—この映画への出演で一番興奮したことは何ですか?
日本人なので、ゴジラ作品に参加できたことが一番大きな喜びでした。監督のアダムは多分同じ年で、日本の映画もたくさん見ていて、僕の作品も見てくれていました。とてもいろいろなことに興味があって、撮影現場で見ていると、「子供心をたくさん持った人がこの映画を楽しみながら作っているんだなあ」と、そんな印象を持ちながら撮影現場に居ました。
—昨年のロサンゼルスは新型コロナやブラックライブスマターに揺れた一年でしたが、ロサンゼルスに暮らした経験の中で、何か思うことはありましたか?
日本の環境では差別などを感じる瞬間はあまりないですが、海外で外国人として生活してみて、さまざまな人種の人と触れ合うことによって自分の中でもいろいろ感じることもありましたね。自分の中で、(人種や差別といったことを)「あまり考えていないということも、とてもダメなことだなぁ」と痛感するような、そんな瞬間もありました。
特にロサンゼルスではやっと映画館で映画を見られるという状況になってきたと思うんですよね。そこでいうと、「こんなに映画館向きの映画はないぞっ」と思うんです。もちろんHBO・MAXでも見られるのですが、できれば映画館で見てほしい。大きなスクリーンと、映画館独特のあの世界で、この二大巨頭の大乱闘を見るだけでもスカッとするし、ワクワクするし、楽しい気分になるし! ということで、ぜひ、チャンスがあれば映画館で思いっきり楽しんでもらいたいです。
ゴジラとコング、強いのはどちら? 映画館の再開を祝う最初の1本に最適と小栗旬さんも勧める「ゴジラvsコング」は31日(水)から、劇場と動画配信サービスのHBO・MAXで同時公開される。
監督アダム・ウインガード、出演アレクサンダー・スカルスガルド、ミリー・ボビー・ブラウン、レベッカ・ホール、ブライアン・タイリー・ヘンリー、小栗旬、エイザ・ゴンザレス、ジュリアン・デニソン、カイル・チャンドラー、デミアン・ビチルほか。日本での公開は5月。【長井智子】