なぎ倒された灯籠。ネットで募集した修繕費用の寄付金は目標の3万ドルを超え、2日までに5万5千ドルを超えた
 2月25日夜、小東京にある東本願寺ロサンゼルス別院が放火や破壊行為などの被害に遭った。警察では、この事件を、最近全米のアジア系コミュニティー地域で多発している暴行や器物破損と同様に、人種差別を動機としたヘイトクライムとみて捜査している。

ひと気の少ない3街に面した正面の入り口付近が放火の被害に遭った
 現場には、ロサンゼルス警察とロサンゼルス消防署が駆けつけ、警察が防犯カメラの映像を確認し、同院の向かい側にいた目撃者から事情聴取を行ったという。現在、警察はこれらの情報を基に、40代半ばから50代の白人男性の行方を追っている。
 同院の輪番を務める伊東範昭さんによると、犯人はフェンスを乗り越えて院内に侵入。テッド・オオヤマさんが制作した提灯台に火を点け、寺に続く階段の下にある金属製の灯篭2個を倒し、玄関に石を投げつけてロビー前のガラス板1枚を粉々にしたという。「けが人が出なかったことが不幸中の幸いだった。建物などの修繕はもちろんだが、人々が負った心のダメージも癒やす必要があると思う。多くの人々にとって、寺院は第2のふるさとであり、この事件は文化や歴史、コミュニティー、家族に対する攻撃のように感じている」と、伊東さんは自身のコメントをインスタグラムやフェイスブックで発表した。事件は、地元でも大きな注目を集め、ロサンゼルス・タイムズをはじめ、ABC7、KTLA、NBC4、Fox11などで取り上げられている。
粉々に破られたガラスの破片を片付けるスタッフ
 同院の歴史は1904年にまでさかのぼり、76年に現在の場所(サード・ストリートとセントラル・アベニューの角)に建てられた。この事件を受け、NP(日系プログレッシブ)は、小東京のコミュニティーパートナーらと共に、クラウド・ファンディング・サイト「GoFundMe」で、支援活動「Support for Higashi Honganji Buddhist Temple!」を開始した。NPによると、支援金は修繕費用ほか、同院の継続的かつ将来的な警備のために使用されるという。支援金は、3万ドルの目標額に対し、1日ですでに約3万7000ドル以上が集まっている(3月1日午後2時現在)。
 GoFundMe「Support for Higashi Honganji Buddhist Temple!」支援金の受け付けは、www.gofundme.com/f/higashiまで。
【砂岡泉、写真=マリオ・レイエス】
捜査に立ち会い警官と話す小東京防犯協会のブライアン・キトウさん(左から2人目)

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