ロサンゼルスにいた頃によく飲んだビールはブルームーン。爽やかなオレンジの香りとコリアンダーの刺激にハマってしまった。シルバーレークのカリーブルストの店でおすすめされたグレープフルーツ味のビールも忘れられない。
 もともとカクテルやサワーが好きだったけれど、いつしかかんきつ系の風味がするIPAのファンになった。
 この3年間、東京と行ったり来たりしながらもコロナ禍で多くの時間を過ごした東北地方。はじめのうちは日本有数の酒処ということで地酒を飲み比べしたり、本で勉強したりした時期もあった。でも知らず知らずのうちに晩酌はビールに戻っていった。
 行きつけの小さなお店はストーンやシエラネバダをはじめとしたアメリカ西海岸のビールをたくさん提供している。おいしいだけではない。店長は同世代でサンディエゴにもいた人。現地でクラフトビールに魅了され自ら地元に店を出した。同じ留学組の話は面白く応援したくなる。2年前の夏休みにサンディエゴに行った時には、紹介してもらったおすすめのブルワリーを飲み歩いた。
 コロナ禍で外食を控えてきたので、飲食店の苦境を身近に感じる機会は少なかった。そんな中、このビアバーを通じて知ることになった。お店がガラガラだったことも少なくなく、客が来ないと嘆く声も聞いた。
 いくら東北の田舎とはいえ、毎日数人の感染者は出ている。客が少ないと訪れる側としてはとても安心だけれど、店側としては死活問題だったにちがいない。
 コロナで大幅な売り上げ減に直面している飲食店を救済しようと、国税庁は酒類のテイクアウト販売ができる免許を期間限定で発行した。期限が切れた今、販売を継続するには店内で酒を出す場所と小売の酒を提供する場所を分ける必要があるという。生き残りをかけた改修の様子も見学させてもらった。
 北国とはいえ、日本の6月は蒸し暑い。夜になってもあまり涼しくならないし、なかなか筆も進まない。そんな時に手にするのはやはりクラフトビール。喉を通るフルーティーなほろ苦さがたまらない。あぁ、もうすぐ締め切りの12時になる。【中西奈緒】磁針

Leave a comment

Your email address will not be published.