【半田俊夫】 日本に戻って2年半。日本の新生活も落ち着いた。日本社会の仕組みや慣習、人の行動様式にも慣れるのは早かった。元々日本人なのだと実感し「おらが国」に住む自然さ、便利さを楽しむ。その中で市民生活を通して体験する諸々の制度や仕組みの日米の違いにも気付くようになった。米国のやり方の方が良さそうだなと感じるのもあるし、日本の方が良いと思うのもいろいろある。今回は前者の例を少し書いてみる。<!–more–>
 都議会議員選挙の案内と投票用紙が郵便でわが家にも届いた。しかし僕ら夫婦2人分がまとめて一つの郵便で来た。日本の日本人はこれを当たり前に捉えているのだろうか。しかし選挙権というのは憲法上も個人の基本的で重要な権利であるから、投票用紙も個々に別々に送られるべきで、夫婦といえどもまとめて家に一つの封書で来るというのは違うと思った。夫婦にもいろいろあって現実的に同居でも不仲の夫婦もあろうし独裁者的な亭主とか暴力亭主もいるだろう。それらを別にしても基本的権利に基づく制度だから夫婦や家族であってもまとめて家に郵送する方式は発送する役所側には効率的かもしれないが正しくないと思う。
 もう一件はコロナ禍の中で政府から出された1人当り10万円の国民給付金が夫婦分20万円をまとめて僕の銀行口座に振り込まれて来た。これもおかしい。夫婦といえども法的には個々の人格権を有する個別の人間であるから各自の口座別に振り込むのが当然と思う。このケースでも不仲や家庭内別居状態の夫婦とか暴力亭主(中には暴力女房?)の場合には支障があるだろう。
 銀行や郵便局の預金口座や証券会社での投資口座も、日本でも当然ながら夫婦で別々の個人口座は作れるが、米国で言う「夫婦のジョイント口座」というのは無くて作れない。米国加州の例だと夫婦のどっちが稼いだ収入でも夫婦一体のジョイント口座に入れるから、仮に片方が死去しても夫婦間の相続は発生しない。日本だと個別口座しか作れないからその持ち主が死去すれば相続と相続税が発生してしまう。市民制度としてこれらは米国方式が良いと思うのである。

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