最近小説を読んでいて気になった言葉がある。「全然+肯定」がそれである。感覚的には全然の後ろには否定語がくるのではないかと思う。
 若物向け小説だからこういった使い方をしているのか? 自分の感覚が古いのか?と心配になってきたので調べてみた。
 調べるといってもネットなのでどうかなとは思ったが、一応辞典・辞書からの引用だったりするから、多分大丈夫だろう。
 結論から言うとどちらでもいい、が正解?らしい。
 明治時代から昭和初期の文学作品では「全然」は肯定的に使用していたようで、夏目漱石や芥川龍之介などの作品にも良く出てくるようだ。
 調べるうちにウィキペディアに「2003年放送のNHK『お元気ですか日本列島』の中で全然の肯定表現について文部科学省の見解として『戦前から全然は否定表現を伴うと教育している』としている」という一文を見つけた。文科省の意見か話した人の見解かは知らないが、そういった意見もあるということか。
 現在はその意味が①「まったく・すこしも」とした場合否定型が続く。②「すべて・すっかり」だと肯定型が続く。さらに③「ひじょうに・とても」だと肯定型が続くようだ。
 なるほど、「全然」の言葉自体にいろいろな意味があったのか。全然考えが至らなかった。考えたらすぐ分かるはずだけど全然納得だよ。
 ただ、ビジネス上では全然+否定を使ったほうが良いとしている。全然+肯定を使う人は言葉を知らない人と思われることがあるらしい。お堅い場所や目上には使用しないほうが無難かもしれない。
 話は変わるが、若者向け小説でありがたいのがたまに漢字にルビが付いていること。「順風満帆」をずっと「じゅんぷうまんほ」と読んでいた。「じゅんぷうまんぱん」である。もちろん「じゅんぷうまんほ」と入力しても順風満帆とは変換されない。
 というわけで、今回もまた一つ知識が増えた。全然知らなかったことを知れたので全然OKだ。(徳永憲治)

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