先祖の歴史を書き残そうと思いまして、数年前から渋沢栄一氏のことを調べはじめました。日本資本主義の父と呼ばれ、2024年から登場する新1万円札の顔にもなります。渋沢氏が明治大正期に約500社の設立に関わった中に銀行や保険会社や鉄道がありますが、私の先祖がそれらの事業運営の指導を受けるために、渋沢氏に度々会っていたという資料を見つけたからでした。
 渋沢氏は多くの会社を設立させましたが、その全てがうまくいったわけではありませんでした。成功した会社は今でも残っていますが、おそらくそれ以上に、歴史の資料に残っていない多くの失敗を重ねていたのではないかと想像しています。そんな資料の中から、「成功と失敗は、心を込めて努力した人の体に残るカスのようなもの」という言葉を見つけました。つまり成功とか失敗とか、周りから分かりやすく検知できる事象は「カスのようなもの」で、人生においては、それほど重要な事ではないということです。本当に大切な事は、目には見えないことの方が多いものです。成功をたたえ失敗を悔いるのではなく、「心を込めて努力」したかどうかこそが重要なのだということを 、伝えたかったのです。
 人生というのは、生きる中で出される疑問や質問、分かれ道での判断に、回答をしていくことなのかもしれません。ただし、その回答が正しかったのかどうかが判断できるのは、回答をした時ではなく、数年後、あるいは数十年後、もしくは人生が晩年になってからの事です。人は人生の晩年で自分自身が出した回答の答え合わせをします。自身にとっては苦い思い出もあるでしょう。それが数年単位や世間的には失敗に見えたとしても、晩年に思えば正解だと思えることもあります。
 成功や失敗という観点から自分を振り返るのではなく、自分がどうありたかったのか、どのように逆境を乗り越え、どのように努力をしたのかという方向から自分を振り返る方が、あるべき姿なのかもしれません。人生の答え合わせのヒントを、先祖から教えてもらったような気がしました。(アサクラ ユウマ)

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