コリアタウンに焼肉を食べに行ったのだが、店の雰囲気やウエーターの青年たちを見て「おお韓流ドラマの世界~」とワクワク。最近それほど韓流ドラマにはまっている。ストーリーが面白過ぎる。いったいどんな人たちが書いているのかと感心する。ネットフリックス、アマゾンプライム、アップルプラス、楽天VIKI…チャンネルは多く作品は星の数ほどあるので、良作を探すリサーチにも力が入るというもの。
 さて焼肉店はジャンルで言えば現代劇だが、私はどちらかというとファンタジー系や違う時代を描いた物語が好き。そこには物語を通じて歴史的事件を知って受ける衝撃がある。その例は韓流に限らず「アンブレラアカデミー」で描かれた米南部の黒人差別、「パチンコ」に出てきた関東大震災の朝鮮人虐殺、「五月の青春」の中の1980年に起きた韓国の光州事件などだ。
 もちろんそれらは題材であり物語のために脚色された世界だから「うのみしてはいけない」ことは分かっている。でも、一方で、現代人の感性あるいは作者の意図で描かれた史実には「教科書以上の威力」があることに驚く。教科書や新聞で知っていた内容は単なる知識(これだって実際には国や出版社の意図が反映されているのだが)。ところが映像で描かれた史実は私に考えさせる。時には自分の無知にあきれることもある。光州事件の80年、その事件に憤りを感じたことさえ思い出さない私は隣の国の脳天気な学生だったのだなあ、と。
 だが考えてみると学校では4月に縄文時代やメソポタミア文明で歴史の授業が始まるが、学年末に安保や東西冷戦までいき着くことは一度もなかった。「近い過去は歴史ではない」と、おそらくカリキュラムでそうなっているのだろう。だから「過去100年は真っ白」でも仕方ないのかも。
 いま日本のマスコミをにぎわせている「桐島聡を名乗る男」。74~75年の連続企業爆破事件の容疑者だというが、私は全く事件を覚えていない。報道されている逃亡劇の内容はすでにドラマのストーリーのようだが、いつか彼の行動や彼の時代の意味を描く物語が作られるだろうか。(長井智子)

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