「ニューヨークは雷雨と聞きました。気をつけてくださいね」。友人の優しい気持ちがうれしかった。しかし、僕はシカゴにいて、灼熱(しゃくねつ)の太陽の下で汗を拭っている。こうしたことが近年増えた。旅に出ると地元ニューヨークは連日の猛暑だとか、極寒の日々が続くとか、とにかくお天道さまに恵まれている。
 晴れ男になるきっかけかと思われることがある。ある時から晴れていても折りたたみ傘を携帯するようになった。備えあれば憂なし。晴天から急変して通り雨が来ても大丈夫。しかし、ある時期から傘を広げることが少なくなった。
 先月もシカゴでこんなことがあった。現地の方と車で営業回りをしていた時のこと、話が盛り上がり、ランチをご一緒することになり、近場のレストランに車を走らせた。テーブルに着席して歓談を始めた頃、外はすごい雨が降り始めたのだ。少し遅れていたらずぶ濡れだったと胸をなで下ろした。面白いのは、その後だ。会計を済ませ車に乗り込んで、次の営業先まで、しばし休んでいると、また大雨が降り出したのだ。タイミングが少し遅かったら、絶対びしょびしょになっていましたね、と笑顔がもれる。しかし次も予定がある。雨の中、移動し始めた。しかし、目的についたら、また雨がやんでいるのだ。
 最初は運がいいだけと思っていたが、いつどこに行っても雨に降られないので、自分は立派な晴れ男なのかもしれない。ただ、この現象は、傘を携帯しているおかげだと思っていた。先日のこと、家を出たら、空からポツポツ落ちてきた。そして、ハッと気がついた。傘を持ってくるのを忘れたことに。しかし、今日は自分が正真正銘の晴れ男かを試す時だと思い、傘を取りに戻らずに、そのまま出かけた。雨は降るかな? そんな思いが頭をかすめたりもしたが、結局、家に戻るまで、雨は全く降らなかった。
 晴れ男は伝説になりつつある。そんな時、ふと思った。世界中の晴れ男や晴れ女を豪雨地方へ集結させれば、雨を止められるのでは? 逆に雨男と雨女を集めれば、干ばつしている土地に雨が降るのでは? 晴れ男や雨女が世界を変えるかもしれない。(河野 洋)

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