ドジャース、地区優勝おめでとう。けが人が続出した苦しい戦いの中で、地区首位を長く維持して優勝できたのは、驚異的な活躍でチームをけん引した大谷がいたからこそ、と言わせてもらっても誰にも叱られないだろう。大リーグ移籍7年目で初めて勝ち取った大事なポストシーズンを前に、残り2試合で期待される大谷の偉大な個人記録に注目したい。
大谷の代名詞である投打の「二刀流」は、今季は投球を休み打撃に専念できるため本塁打と打点の2冠を予想していた。ところが、打率も上位に名を連ね、3冠の望みもまだわずかながら残っている。
予期しなかったのは、昨年までは26個が最多だった盗塁だ。量産する本塁打と並行し、93%という高い成功率で積み重ね、あのイチローの日本人最多記録56にも並んだ。それまで5人しかいなかった「40本塁打、40盗塁(40―40)」を史上最速で優に超え、55―55達成へ本塁打あと2本に迫っている。
今季、大谷は大リーグ記録、球団記録、日本人記録など数々の新記録を打ち立てている。そのたびに新聞には、「歴史的」「偉業」「快挙」などの見出しが踊る。偉業などと称されるのは、並みの選手なら生涯に1度や2度、いや無縁だろう。だが、大谷は1シーズンで、それををさらりと、しかも何度もやってのけることに驚かされる。
開幕当初から大谷が打席に向かうと、ひと際大きな歓声が起こり、シーズン終盤に入ってからは、呼び声高い「MVP」の連呼が湧き上がってくる。2年連続のMVPに期待は高まるばかりだが、これまでDH(指名打者)の受賞は誰1人としていない。DHは守備に就かないことが、その理由のようだ。だが、今季の大谷の活躍は55―55に迫る勢いの成績が物語るように、これまでのDHとは印象度が全く異なる。昨年のような満票での受賞は全く必要ないので、ぜひとも取ってほしい。
来週から始まるポストシーズンは、ドジャースにとって茨の道となるだろう。けがから戦列に復帰した山本らが調子が上がらず、現状の投手力ならワールドシリーズまで勝ち進むのは難しい。窮状を救うため、大谷が「僕が投げる」と志願してマウンドに上がらないか、ただただ心配。(永田 潤)
