フリーマンの劇的サヨナラ逆転満塁ホームランで沸いたワールドシリーズ第1戦。日本語のユーチューブの解説を見ていたら、それに視聴者から多くのコメントが寄せられていて、それとなく目を通してみた。
大半は若い野球ファンのコメントで、フリーマンをたたえるコメントが多い中、1人フリーマンには言及せず、「大谷選手、有難うございます。身寄りの居ない72歳のおばあちゃんですが、大谷選手の笑顔を見ていると元気が出ます。野球を知らない私が大谷選手を見るのが楽しみです。世界一を目指して頑張ってください。祈っています」というコメントが目についた。
どんな女性なのだろう。野球が分からないのに1人で中継を見ている。日本に住んでいるのだろうか、米国だろうか、あるいは他の国だろうか。
話はそれだけはない。その女性に8人がリプライしているのだ。明らかにその大半は若い人たち。「私も大谷選手から元気をもらっています」という内容が多い中、「長生きしてね」とか「お一人で寂しいでしょうが、大谷選手からパワーをもらってワクワクで生きましょう。応戦してますよ」といったリプライもある。断絶と孤立の今の世の中にあって、そうした言葉を見ず知らずの高齢の女性に投げ掛けることを促す力が、大谷翔平という1人の日本人の野球選手が持っているということなのか。
その後、ドジャースがワールドシリーズに優勝してからはその女性のコメントは見当たらないが、ずっと試合を見ていただろうし、ドジャースが優勝したことを喜んだことだろう。
そんなことを考えていたら、ふと、マサチューセッツ州の山間部に1人で住む高齢の日本人の女性のことを思い出した。以前、新聞購読のことで長い手紙を送ってくれた人だ。その手紙には「友だちもなく、話し相手もいない日々の生活の中で、1週間以上遅れて届く羅府新報だけが楽しみです」とつづってあった。
もちろん大谷選手ほどではないが、異国に一人住む高齢の日本人に日本語新聞が元気を与えることができるとしたら、それは素晴らしいことだと思った。(長島幸和)
