アカデミー賞は3月2日、授賞式が開催され、最優秀作品賞は「ANORA アノーラ」が獲得した。候補作のほとんどが、全土に渡っての同時劇場公開(ワイドリリース)でなく、配信系会社による独立系低予算のアート作品だ。そのためまだ視聴していない人も多いだろうから、今回個人的見解の5段階評価にてレビューする。
「ブルータリスト」 5点 ホロコーストや虐待など度重なる過酷なトラウマを乗り越えたハンガリー系ユダヤ人建築家の不屈の精神物語。3時間半の感動エピックドラマ。
「ANORA アノーラ」5点 NYのロシア系米国人ストリッパーとロシアのオルガルヒの放蕩息子のはかない青春恋愛夢物語。風刺、コミカルシーンも織り込むが、エンディングは泣ける。若さみなぎる主演女優の熱演が光る。
「アイム・スティル・ヒア」5点 70年代ブラジルの独裁軍事政権下で、悲劇に陥る家族を描く。苦悩に耐え、強い意志を内に秘める妻・母親の姿は胸を打つ。史実上ドラマ。
「エミリア・ペレス」 5点 犯罪あり、ミュージカルあり、ショッキングなプロットあり、自己疑問を克服する姿に共感。作り手の過激なる創造性もあっぱれ。
「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」4点 無名のデビュー直前から時代の寵児となったボブ・ディランの若き数年間をそつなく淡々と描く。米国の1ページを体感する。清々しい。
「教皇選挙」 4点 ローマ教皇(呼び方を「法王」から「教皇」に統一)の死去に伴い世界中から120人ほどの枢機卿が集まり、次なる教皇の選挙の駆け引きを巧妙に描く。人間模様が面白い。
「ウィキッド ふたりの魔女」 4点 魔法の国オズで繰り広げる痛快ミュージカル。友情の尊さに泣けるシーンも。大いに楽しめる。
「デューン 砂の惑星 PART2」 4点 別世界に浸され現実を忘れさせる冒険物。見事な映像美。
「ニッケル・ボーイズ」 3点 60年代、米南部の少年更生施設での理不尽な虐待から逃れる黒人少年たちを描く社会派ドラマ。ユニークなカメラワーク。
「サブスタンス」 3点 年老いて落ち目のベテラン女優が、若さを取り戻そうと奇妙な薬に手を出す。滅茶苦茶な怪異ホラーだが、怖いもの見たさで意外と楽しめる。(長土居政史)
