インターネットの仕打ちか恩恵か、過剰なニュース、怒涛(どとう)のSNS、問答無用のメッセージでわれわれの世界は広がったも、小さくなった気もする。昔では考えられないネット天国のご時世だが、それ故に1週間が1日に感じられるくらい生活のテンポが加速化しているように見える。セミの一生が短いといわれるが、人間の一生も大差ないかもしれない。
「最近の若いもんは」と言うようになると、年をとった証拠。一般的には自分たちには理解できない若者たちを嘆く、年配のお決まりのフレーズ。自分もしっかりその部類に属する年齢になった。
そんなある日、世界をにぎわす覆面アーティスト、Adoのコンサートに行かないか、と長女からメッセージが入った。デビュー前からバイラルで話題になったAdoには注目していたので、ワールドツアーをするまでにビッグになった日本の音楽スターが、どれくらい人気があるかを確かめるべく、若者たちが集まるニュージャージーのコンサートホールへ足を運んだ。
会場の外はZ世代の若者でごった返していて、アーティストグッズを購入しようと列を成すファン、始まる前から、その熱気に圧倒された。会場内5千人以上のファンが埋め尽くすホールには、覆面スターということもあり、写真、動画、録音は一切禁止。コンサートは彼女をスターダムに押し上げた「うっせぇわ」で始まる。アンコールまで顔が見えないAdoに声を枯らして声援するアメリカ人たち。隣の白人の女の子は日本語の歌詞なのに一緒に歌っている。
Adoは、僕が知る限りこれまでに類を見ないタイプのシンガーで、その歌唱力と声の使い方は断トツにユニークで、楽曲も斬新だ。長年音楽ファンの僕は、こうした新感覚のアーティストが日本から出てくることに喜びを感じる。Adoから、「音楽が好き、それだけでいい、ルールはなく、わが道進め」というメッセージを受け取った。アンコールの時のトークでAdoは言った。
「私はただただ歌うこと大好きで、クローゼットの中で、自分を信じてずっと歌い続けてきた」
そして今がある。アメリカの大観衆を熱狂させるAdo。最近の若いもんはSUGOI!(河野 洋)
