日本で憲政史上初の女性総理大臣が誕生し世界が注目している。羅府新報の新年号に掲載される在米邦人に向けた高市早苗新首相のあいさつが楽しみだ。新内閣には、父が米国人、母が日本人でシカゴ生まれの小野田紀美氏が経済安保相として初入閣し、新たな時代への幕開けを感じる。
最近仕事で立て続けに優秀な日系人の若者に出会う機会があった。そのうちの1人は衛星ビジネスの最先端を行く米国企業で働く男性Tさんで、母が日本人、父が米国人のロサンゼルス育ち。専門分野における日米の現状を広く把握し、難しいビジネス日本語を流ちょうに話すTさんに、訪米した日本人ビジネスマンらは強い刺激を受けていた。日本人が長けている空気を読む心遣いや礼儀正しさも併せ持ち、私はTさんに感心しきりだった。
少子高齢化で人口減少が続き、労働力不足が問題となっている日本に、これらの日系人をもっと積極的に取り込むことができないものかと考える。日本の文化や習慣に親しみ育った日系人が、もしかしたら二重国籍が原則として容認されていないために、自分を「日本人」と位置付けていないのなら、日本にとっては宝の持ち腐れで非常に残念に思う。
日本の国籍法では、重国籍者は一定の期限までに国籍を選択しなければならないと定めている。ただ、人種のるつぼロサンゼルスでは重国籍者が多く、日本のような「単一国籍の原則」がある国はまれに感じる。外国で暮らす人や国際結婚が増える今、世界的には重国籍を認める風潮で、ドイツは昨年、そして日本と似た問題を抱える韓国は2010年の国籍法改定で限定的ながら二重国籍を認める方針に転換した。
また、生活基盤の確立や社会保障のメリットを理由に日本人が米国の市民権を取得する時、日本国籍が失われるのは残念だ。これらの人々の多くは国際感覚を身に付けた日米間の「親善大使」で、日本の繁栄に向けた大事なリソースになる。在外邦人が居住国の国籍を取得しても日本国籍を失わないで済む制度や、グローバル化の流れに沿い日系人を自国民として獲得するための国籍法改正を、今こそ日本政府に検討してもらいたい。(平野真紀)
