ウイメン・オブ・ザ・イヤーの表彰式。左からラモス・南加日系婦人会会長、井本さん、へンソンさん、山本さん、オカダさん、スミダさんと、キタJACL・LA支部長
へンソンさん(中央)の表彰
 南加の日系社会において社会奉仕で功績を挙げた女性を顕彰する2017年度「ウイメン・オブ・ザ・イヤー」賞の授賞式が7日、モンテベロのクワイエット・キャノンで開かれた。参加者約300人から祝福を受けた受賞者5人は、受賞を励みに、より一層の社会貢献を誓った。

 同賞は1963年に創設されて以来毎年、南加日系婦人会と日系市民協会(JACL)ロサンゼルス・ダウンタウン支部が選出し、表彰式を共催している。55回目を迎えた今年は、ミコ・ハゴット・へンソンさん、スーザン・カズエ・井本さん、マーリン・マサミ・オカダさん、アイリーン・シゲコ・スミダさん、山本教江さんが受賞。

井本さん(中央)の表彰
5人は、それぞれの所属団体で、卓越したリーダーシップを発揮している。授賞式では、各受賞者の経歴や逸話などを紹介するごとに、拍手と歓声が沸き起こった。
 開会のあいさつに立った南加日系婦人会のラモス逸子会長は、これまでの受賞者が177人に上るとし「日系社会には、いかにすばらしい女性が多いことかが分かる」と強調。「今日の表彰者は、女性としてすべての美徳を持っている。これからも若々しく、われわれの鑑(かがみ)になってほしい」と期待を寄せた。JACLのジョージ・キタ支部長は、受賞者をたたえ「日系コミュニティーに長年献身する功績は計り知れず、皆受賞に値する活躍をしている」と絶賛した。
オカダさん(中央)の表彰
 東京出身のへンソンさんは、幅広い分野の日本文化の啓蒙や姉妹都市交流を支える。また弱者救済を訴え、障害者教育や孤児院設立に尽力した日本人の活動を映画で紹介する。日米の懸け橋役に徹するのは「戦争経験者としてアメリカに住んで、日本を代表して活動していて、アメリカと日本の両方のいいところを知ってもらいたいから」と説く。父親が創立した芝浦工業大学の学生と職員を留学させることを目的にUCアーバイン校に設立した「有元史郎奨学基金」は「私が死んでもずっと、受け継がれる」という。
 「小さい時から踊りが大好きだった」と語る井本さんの日舞に対する情熱は、今も変わらず「寿の会」の会主、井本豊春寿として門弟の育成に力を注ぐ。踊りの披露は、二世週祭など日系の諸行事はもとより、他の社会の行事に積極参加し活動の場を広げる。「私の生徒は、英語を話す人ばかり」という弟子たちとともに「アメリカ社会で日本文化を知らない人に紹介したい」と、伝統文化の継承に意欲を示す。
スミダさんと(中央)の表彰
 オカダさんが、大学時代から長年にわたり日本人留学生をはじめ、日系企業の駐在員家族を助ける理由は「日本人にとって、英語での意志疎通はたいへんで、文化、生活習慣などアメリカ式に合わせるには、とても難しいので、助ける必要があるから」と説明する。旧敬老や全米日系人博物館の基金集めなどの活動継続に意欲を示し「日系社会は、助け合わなければならない」と力説する。
 元小学校教師のスミダさんは、現役中から地元サンファナンドバレーの日系社会で活躍。同コミュニティーセンター理事、高齢者向け生活支援型施設「日系シニアガーデンズ」では会長を務めた。同ガーデンズが運営資金難に陥った時には「親孝行基金」を設立して基金集めを主導。約60万ドルを捻出し、経営改善に大きく貢献した。「若い世代が、年長者を敬い、老後を助ける責任を持てば、社会の絆は維持される」を信念に奉仕を継続する。
山本さん(中央)の表彰
 山本さんは、小笠原流煎茶道の南加総支部の家元教授。煎茶道の普及への尽力が高く評価され、総支部創立40周年では「十徳」、小笠原流煎茶道創流100周年には「瑞宝章」を授与された。それぞれ海外で初という栄誉だが、おごらず「日本の古い文化、美しい伝統、すばらしい作法、精神修養などをアメリカの人に伝えたい」と、初志を貫徹する。看護施設で奉仕にいそしむのは「日系1世のパイオニアの人たちへの感謝の気持ち」といい、恩返しは25年を超える。【永田潤、写真も】
起立を求められ、紹介を受ける5人の受賞者には、大きな拍手が送られた

Leave a comment

Your email address will not be published. Required fields are marked *