大西洋・地中海産クロマグロの国際取引禁止案が否決された。他国への働きかけに努め成果を挙げた日本には朗報だが、他種のマグロにも新たな提案が出されることは必至で油断してはならない。昨年、俳優の松方弘樹さんが巨大なクロマグロを国内で釣り上げ話題になったが、その時は禁輸案があることすら知らずにいた。
 マグロの前にはイルカ問題があった。アカデミー賞で、日本のイルカ漁を批判し隠し撮りして作った映画が受賞した。合法的な漁だが、血の海を見せられ動揺した人も多いことだろう。
 同映画の制作スタッフはまた、サンタモニカのすし店が所持・販売禁止の鯨肉を客に提供したことを暴いた。なぜ鯨肉を出さねばならなかったのか、疑問で残念に思う。すし店が行った違法行為はこれまた、日本と和食にマイナスイメージを与え恥ずかしい。
 同じ鯨の問題で、米国の反捕鯨団体が日本の調査捕鯨船へ妨害行為を繰り返している。調査船へ薬品を投げ込んだり、危険な船体の衝突、船長の不法侵入などとエスカレート。動物愛護の観点から国際世論に訴えようとしている。合法的な活動なら話し合いに応じることはできるが、同団体の抗議は一方的で度を超していてテロに限りなく近い。
 日本はこれらの過激な違法行為を世界に向けて報じている。でも、考えてみれば、報道すればするほど、団体は捕鯨反対派に活動内容を知らせることができ、支持者を増やす。抗議には無視を貫いて、賛同者の団体への寄付を止めさせなければならない。
 食糧の国内自給率が低く、輸入に頼って生きていかねばならない日本。今回のクロマグロに限らず、和食文化を守るためには他国との連携を強め、漁獲量削減など自主的な規制を厳しくし、反対派を納得させる努力が必要である。
 そして、漁獲制限の前に、個人が意識改革して消費を抑えることも大切だ。経済にはマイナスの影響が出るが、腹8分目の方が健康にいいし、環境保護にもつながることだろう。【永田 潤】

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