何のために会社に行き、何のために働くのか。そして突き詰めると、何のために生きているのかを自問自答することがあるかもしれません。
 自分にふりかかる人生の課題や問いに真摯(しんし)に答えていくことこそ人間として生まれてきた使命だと言うのであれば、それはそれで正解なのかもしれませんが、自分を納得させて進んでいかせるためにはもっと具体的な説明が必要かと思います。
 会社のために仕事をすると、お金という対価を手に入れることができます。自分の時間を使った報酬と言えるかもしれません。お金で、自分に必要なさまざまな物と交換できるわけですから、人間にとってお金は必要なものです。誰かから生活のいっさいがっさいを支給されない限り、お金があってはじめて暮らしていけると言えるからです。
 ですが、人間というのは不思議なもので、お金をもらうだけでは自分のモチベーションを維持させていくことができない仕組みになっています。そこには、いやな上司であったり、自分の意見とは異なるライバルが登場します。あるときはなじられ、あるときは打ちひしがれます。
 そんなときには、仕事の報酬がお金以外のものであったらと考えるとどうでしょうか? 私たちが経済活動をしたときには、実際に目に見えるものとしてお金をもらっていますが、実は、そのほかにたくさんのものを受け取っています。それが感謝とか笑顔とか、目に見えないモチベーションです。
 こういったものはお金に換算することができない、また人によって価値がまったく異なる対価です。同じ商品やサービスを売ったとして、お金の量は同じでも、受け取る感動の度合いは人によって異なるからです。
 商品やサービスを受け取ることで便利さやおいしさという感動と交換していると考えるのでしたら、報酬は感動の対価といえます。であれば、少しでも多くの感動を差し上げることで、少しでも多くの感謝をいただいた方が幸せです。【朝倉巨瑞】

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