川柳はその性格から17文字の人間詩、人情詩、風俗詩、風刺詩などといわれ、日本特有の文化といえよう。当羅府新報にも「羅新川柳」、「パイオニア川柳」など川柳を趣味とする人たちのコラムがあって楽しい。先月、日本の鳥取市で開催された今年の「全日本川柳大会」で私の実兄が文部科学大臣賞(実質最優秀賞)の栄誉に輝いた。この大会は川柳作家が一堂に会して作品を競う、日本川柳界最大のイベントで、日川協(社団法人・全日本川柳協会)が年一回開催する行事なのだそうだ。
 今回の兄の受賞作は、『木簡のここにも税の文字がある』。兄の説明によると、この作品は、大会での課題の中の一つ「漢字」という題で作った句なのだそうだ。古代の木簡文字が現代の世相にまで反映している妙が見事だと私も思う。古代中国で用いられた木簡は、日本でも古くは飛鳥時代から、また平城京跡などからも出土しているものであり、平城京遷都1300年にあたる今年にふさわしい句でもあるといえよう。最高に名誉なことで、弟の私としても誇らしく、この上ない喜びだ。私は早速、兄へ祝意を送り、こちらロサンゼルスで祝福の乾杯をした。
 兄はこれまでも何度か各種川柳大会で入賞暦があり、この全日本川柳大会でも一昨年の福岡大会で、実質第3位である「川柳大賞」を受賞している。そのときの受賞句は、『なぞなぞをかけて写楽のかくれんぼ』であり、また、3年前の全日本川柳協会編・発行の「平成柳多留」では「日本青少年育成協会会長賞」に選ばれ、その時の作品は、『ばあちゃんの青春にいるプレスリー』だった。
 生まれながらのユーモア精神旺盛な兄は家業を引退後は、川柳やコントに生きがいを見いだしている。彼の作品にはペーソスの中にちょっぴり光が差し込むユーモアを感じられるものが多く私は大好きだ。
 兄は今上天皇(現在の天皇)とは同じ年齢だが、大衆文芸としての川柳を堪能できる幸せは、畏れ多くも天皇陛下にはお持ちになれないものだろう。【河合将介】

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