最近読んだ本(板坂元著「アメリカンルール」)の受けうりだが、ジョンズ・ホプキンズ大学のチャーリン博士たちによる研究では、アメリカ人の一生を次の9ステップに分けている。①両親と同居②両親が離婚、母親と同居③母親が再婚、母親・継父と同居④一時、ひとり暮らし⑤異性と同棲⑥結婚⑦離婚してひとり暮らし⑧再婚⑨配偶者の死後、ひとりで暮らす。
私の場合は今のところ①④⑥だけの単純なもので、9つものステップとはご苦労なことだと思ってしまうが、人それぞれの事情があり、要はどんなステップであれ、悔いのない人生を終了できるかどうかだろう。夫婦の関係についても多種多様であろうが、私の知人によると、これまでの日本人夫婦の一生はおおよそ以下の段階を経るのだそうだ。①結婚当初は愛の時代②努力の時代③忍耐の時代④あきらめ、惰性の時代と続く。最初の「愛」はともかく、次からの「努力」、「忍耐」、「あきらめ、惰性」では何のための夫婦なの、といわれそうだが、どうかご安心あれ、最後に待っているのが「⑤感謝の時代」なのだそうだ。夫婦二人で協力しあえば最後に待っているのが感謝だと理解すれば、苦難も決して無駄ではなく、希望が生まれる。
テレビの芸能ニュースで有名タレントの熱愛報道や結婚の話題が報じられるが、当事者のコメントの多くは「彼(彼女)といると楽しい」「彼(彼女)は私を幸せにしてくれる」といった言葉で、相手が自分を幸せにしてくれるかどうかがポイントなのだ。そして数年で次は涙の離婚会見が待ち構えているケースが目立つ。
先日、私は友人の娘さんの結婚披露宴に招かれ、祝辞を述べる機会があった。私の年齢に達すると歯の浮くような美辞麗句の祝辞は必要ないので、上記の夫婦の関係五段階を説明して次の通り締めくくった。「結婚式とは社会・家庭に対する責任と、二人を待ち構えている艱難辛苦を一緒に乗り切る覚悟を宣言する儀式なのです。そうすれば最後に必ず感謝の時代がやって来るでしょう」と。【河合将介】