28日に日本で開かれた新人選手獲得のためのプロ野球ドラフト会議。主な理由として戦力均衡や契約金の高騰抑制のために行われ、希望選手重複の際は公平を期すため、くじ引きによる抽選が行われ、当選した球団が交渉権を得る。選手は天命を待った。
選手の人生を左右するため、「運命の一日」や「運命のドラフト」などと呼ばれ注目が集まる。過去には、意に反して希望球団以外から指名されての入団拒否など、気の毒に思うことが多かった。制度に不備があり再三改正されが、不十分なようだ。裏金が流れるなど球団の闇の工作が明るみとなり、社会問題となったこともあったが、清浄化されスカウトの間では「スポーツマン」らしい攻防が繰り広げられているようだ。
今年の指名は有望選手が数多い「豊作」と期待され、当の選手たちは大変だったと思うが、実におもしろかった。特にロサンゼルスで暮らすわれわれは、来米した選手に接した人も多いため、ドラフトには無縁ではない。
今年は、当地に日本から3大学と高校選抜チームが来て、私は取材をするチャンスに恵まれた。大学は春にキャンプを張り地元大学と数試合戦い、高校は夏の甲子園大会で活躍した選手からなる日本選抜チームが親善試合を行い、応援は熱がこもった。
それらの有力選手が上位指名候補に名が挙がっていたため、進路先が大いに気になった。特に選手を家に泊めて世話した人や母校選手の先輩は、その行く末を実の子のように祈る思いで見守ったという。
深夜まで、ある人は夜明けまで起きていたそうだ。インターネットで逐次、指名され交渉権が決まる成り行きをチェック。予想通りに指名された選手が多い中で、期待に反し漏れた選手もおり、悲喜こもごも。選手へのEメールは、祝いもあれば、慰めもあったという。
「運命のドラフト」。幸、不幸、どちらにせよ、選手はプロあるいはアマチュアで野球を続ける。ケガをせずに次のチームでがんばってもらいたい。選手たちに幸あれ。【永田 潤】