12月も中旬を過ぎ、羅府新報の日本語編集部では来年1月1日発行の新年号の制作に追われている。
 今年取り組んでいるのは、「発展を続ける小東京」と題し、現在小東京地区内で進められている開発事業を取り上げた特集記事。
 ロサンゼルス市議会の主導により1970年から始まった再開発事業の歴史は長く、すでにさまざまな事業が展開された。新年号では、40年が経った今進められている事業を紹介する予定だ。
 小東京の「計画文化遺産保存推進委員会(PCPC)」によると、同地区内には現在、大小含め約22の開発事業が進められているという。
 大きなものとして、サンペドロ通りと2街の角に建設予定の複合住宅「ブロック8」、ロサンゼルス通りの2街と3街の間、小東京図書館の横に建設予定の多目的スポーツ複合施設「ロサンゼルス武道館」、そしてほぼ完了したが、ジャパニーズ・ビレッジ・プラザの改装工事および櫓(やぐら)の改築、またメトロの「リージョナル・コネクター」、ウーリマーケットが入るリトル東京ギャレリアの3階にボーリング場などといったレクリエーション施設の建設案など、小東京へさらなる人の流入が見込まれる事業も多くある。
 日系社会は、「小東京の歴史が失われないように」「時代の流れに合った変化を」と多くの議論を交わし、州や郡、市、また開発業者らに対し「小東京の声」を発信してきた。
 「日系社会」と言っても、小東京の住民、事業主、非営利団体など、立場が違えば考えも異なり、二世、三世、四世、新一世、新二世と世代が異なればまた意見も違ってくる。そういった状況の中で、意見のぶつかり合いも多々あった。しかし、それでも小東京は着実に発展をとげている。
 その理由はやはり、小東京を愛する人たちの力によるもの。意見が異なろうとも、「小東京を守る」という熱き思いは皆同じだったからこそ、多くの事業を成功に導き、現在の発展につながっている。まさに、コミュニティー全体で再建した小東京。今後もわれわれの心のよりどころであってもらいたい。【中村良子】

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