今日本で、漫画「タイガーマスク」の主人公「伊達直人」名乗る匿名の寄付が全国の児童養護施設などに相次いでいるという。
 事の発端は、昨年のクリスマス。群馬県の中央児童相談所の玄関先にランドセル10個が突然届けられた。送り主はサンタクロースならぬ「伊達直人」。「子供たちのために使ってください」とのメッセージが添えられてあった。
 原作のなかの伊達直人は児童養護施設で育つ。覆面レスラーとなった後、優しい素顔を仮面で隠し、施設の経営難を救うため、試合で得た報酬を施設に贈るという物語だ。
 年が明けて、寄付の動きは拡大する。正体明かさぬ人物からの寄付に「感銘しました」という旨の手紙とともに、47都道府県の児童相談所や警察署に、「伊達直人」の名で文房具や食品、現金などの贈り物が連日届けられているというのだ。
 感動が感動を呼び、全国の「伊達直人」からの寄付は「タイガーマスク現象」となって日本中を席巻している。
 ところ変わって、ロサンゼルスには毎年クリスマスにサンタクロースが現れる。元弁護士の初老の紳士が、サンタを意識してか赤いセーターに身を包み、クリスマスの夜になるとダウンタウンのスキッドロウにあるホームレス施設で、およそ3000人のホームレス一人ひとりに10ドル札を手渡していくという。ホームレスの人々がみせる感謝の念に心動かされたという彼は、30年間毎年欠かさずこの寄付を続けているという。
 長引く景気後退で、ロサンゼルス郡の12月の失業率は遂に13%を記録。日本では、今春卒業予定の大学生の就職内定率が68・8%と過去最低を更新し、昨年の高齢者の孤独死問題や児童虐待など暗いニュースは後を絶たない。
 しかしそんな世知辛い世の中でも、心温まるニュースに多くの人が「世の中捨てたものじゃない」と感じられたのではないだろうか。そして、ヒーローは漫画の世界だけでなく、私たちの日常の生活の中にも潜んでいるのだ。もしロサンゼルスに「伊達直人」が海を渡って現れましたら、羅府新報までご一報下さい。【吉田純子】

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