アカデミー賞の授賞式を目前に控え、先日、同賞8部門にノミネートされている映画「ソーシャル・ネットワーク」を鑑賞した。
同映画は、世界中に6億人のユーザーを抱える世界最大のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「Facebook」を創設したマーク・ザッカーバーグを中心に、彼を取り巻く人間関係や、彼がフェイスブック創設に至るまでの経緯を描いたドラマ。
彼がハーバード大在学中の04年にフェイスブックを創設した話は有名だが、映画ではその成功の裏にあるさまざまな人間模様や彼の天才的な頭脳、デジタルテクノロジーに精通した「ジェネレーションY」と呼ばれる世代の思考などを垣間見ることができる。
ザッカーバーグ本人は同映画について、「事実と異なる」と発言しているが、先月放送された「サタデーナイト・ライブ」の番組内で、映画で彼を演じた俳優ジェシー・アイゼンバーグと初共演。映画の宣伝に一役買った。
フェイスブックが社会にもたらした利点は非常に大きい。単に個人レベルで世界中の人とつながることができるだけでなく、ビジネスや政治にも利用されるまでに成長した。
チュニジアやエジプトにはじまり、中東や北アフリカなどに広がっている大規模な反体制運動も、フェイスブックによる呼びかけがきっかけだった。ハーバード大の寮の一室で学生たちにより生まれたフェイスブックは、今や、国や政治をも動かす力を持つツールとなった。
しかし、フェイスブックの成長に驚いていてはすでに時代遅れ。今となっては、「ネット・ジェネレーション」と呼ばれる90年代後半から2000年代生まれの「ジェネレーションZ」が、スマートフォンなどを駆使し、テキストメッセージやツイッターで日々コミュニケーションを図っている。彼らによると、Eメールはもう「ダサい」のだとか。
このネット・ジェネレーションの中から、次なるビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグが生まれる日は近そうだ。【中村良子】