東北地方を襲った東日本大震災は、世界観測史上4番目の規模となるマグニチュード9.0を記録。地震により発生した大規模な津波で多くの尊い命が一瞬にして奪われた。今も地域住民や自衛隊、各国から派遣された救助隊による懸命な救援活動が行われている。
 ロサンゼルス郡からも消防隊員や医師などで編成された74人の特別救援隊が現地に赴き、決死の救助活動を展開し、19日に9日間の任務を終え帰国したばかりだ。
 義援金を呼びかける運動も各地で起こり、ここロサンゼルスでも数多くの団体が立ち上がった。呼び掛けは日系団体にとどまらず、米国、そしてお隣の韓国コミュニティーにも広がり、ひとりでも多くの人を助けたいという願いが込められていた。
 活動を発起した団体、そして寄付をする人々の思いは同じ。津波が家屋をのみ込んでいく映像を目にし「被災者のことを思うといたたまれない」と声を震わせ涙ながらに募金所を訪れる人、「日本はひとりじゃない。みんながついている」とエールを送る人。日系、米国、韓国、その他多くのコミュニティーが日本のためにひとつになった瞬間だった。
 そんな中、世界中の人々からの祈りが届いたのだろうか、奇跡の生還者が現れた。岩手県大槌町で75歳の女性が92時間ぶりに救出された。彼女は「絶対に諦めない」と念じ救援隊の到着を待ち続けていた。
 宮城県石巻市では地震発生から9日ぶりに80歳の祖母と16歳の孫が救助された。東北地方の厳しい寒さのなか、2人は水やパンなどわずかな食料で命をつないでいた。低体温症で体力が著しく消耗されていたが、孫は倒壊した家屋の屋根によじ登り、寒さで震えながら全身の力をふりしぼり「助けてください。おばあちゃんが家の中にいます」と叫んだ。
 「災害救助の常識をも覆す生還」とも評されたこの奇跡は、救助隊はじめ多くの人の心に暗闇の中の希望の光となった。
 今も被災地には多くの安否不明者がいる。しかし諦めず希望を持ち続け、ひとりでも多くの生存者が救出されることを祈ってやまない。【吉田純子】

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