3月4日、横浜国大の学生10人がロサンゼルス研修に出発する。1997年以来支援してきたこの研修旅行も、応援できるのは今年限りか…。毎年大勢の人たちの協力を得てユニークなゼミ研修旅行が実現できた。海外研修というとさまざまな施設や企業を訪問し、日本とは異なる経営スタイルや施設運営を学ぶのが一般的だ。
 しかし短期間の研修旅行でしかも経験の浅い学生がどこまで理解できるのか? さまざまな運営やシステムの相違の背景には国によって社会構造の違いがある。どのように違うかは知ることができてもどうして違うかまでは理解できない。個々の細かい知識よりも、世界にはさまざまな人種がいてそれらは異なる文化を持ち、習慣や考え方やり方が違うという現実を知ればよい。そして、どうして? と自ら考えることを始めてくれればこの研修は成功である。
 日本へ帰国すれば、年々企業駐在員は交代し友人たちは次第に疎遠になる。だからこの研修を支援できるのも今年が最後か…。そんな思いで今回は今までのノウハウをすべて引き継いでもらうことに専念した。この研修はすべて学生の自主研修である。彼らは自分たちがアルバイトをしたり節約したお金を貯めて参加する。チケットやホテルの手配も事前質問書もインターネットを活用して自ら用意する。訪問先には受入れ依頼書と共に自己紹介書を送る。出発までに何度もミーティングを重ね事前研修を行う。自主的に行うこれらの一つ一つが心構えを整え研修を豊かにする準備である。
 今までの先輩はこの研修により自己啓発し大きく成長した。就職時の面接ではほとんどの学生がロサンゼルス研修を語ったという。世界情勢が激しく動き日本の立ち位置が揺れる中、日本の生きる道は諸国・諸企業との連携である。異人種・異文化の人たちといかにコミュニケーションをとり共に協力してゆけるか、そしていかにリーダーシップを発揮できるか、それが次世代を担う若者に求められる。この研修がそのために役立つとすれば、無償で支援した人々の労は報われるであろう。彼らの旅立ちを、無事の帰国を心から願う。【若尾龍彦】

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