先日、大学時代の旧友と久し振りにランチをした。新たに200ドル程で買い替えたiPhoneに、落ち合うレストランの場所情報を入れたので、時間通りに無事到着。なつかしさでランチはあっという間。その後近くのスタバに移動。さらに話が盛り上がり、結局3時間程話し込んで、あとはメールでやり取りしようと約束し別れた。
 帰路の途中信号待ちで、メールをチェックしようとポケットのiPhoneを取り出そうとしたところ、あれ? ない! 顔面蒼白になり、慌てて、まずはレストランに引き返すが、忘れ物は、ないと。ウエーターのあっけない態度に猜疑心が募る。
 急いでスタバへ。ここでも紛失届け物はないと。座っていた椅子の回りを探しても見当たらない。近くの客に携帯を借り、自分の番号に掛けてみた。
 呼び出し音が鳴るが、一度でプツン! と切れた。盗まれた、わざと出ないんだと確信。連絡先、写真などすべてがパーだ! 一気に落ち込んだ。とにかく、サービスを止める連絡をしようと自宅に戻る。
 家から、念のため再度、自分の携帯に掛けてみると、「ハロー」と女性の声が。彼女はスタバで見つけて、店に渡しても本人に届くか不安だったので、自分が預かり、連絡を待っていたと。すぐ取りに行きたいと答えると、今、オリンピック沿いのホテルで打ち合わせ中なので、フロントに預けておく、と。
 交通渋滞が始まり運転も焦る。やっとホテルに着き、フロントに尋ねると、彼女の一行はすでに出かけた後で、封筒を渡された。iPhoneと彼女の名刺と「手元に戻ったら連絡してね」のメモが入っていた。
 彼女の名前はマリア。なぜか聖母マリアを思い出す。メキシコの超高級リゾートホテル&スパのセールスマネジャー。電話をすると、彼女はアメリカに出張中だと。メールで丁寧にお礼を告げると「安心したわ」と、丁寧な返事。
 最悪の一日が、なんともラッキーな日に。疲れも吹っ飛んだ。世の中には、こういう思いやりのある人がまだいると思うと嬉しくなる。本当にどうもありがとうございました、マリア様。【長土居政史】

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