産まれて1年を過ぎた長女がここ数カ月頻繁に病気になる。
 風邪、りんご病、手口足病など。特に風邪は今月2度も引いている。高熱が出て、咳などで呼吸が苦しくて夜中に何度も起きるので両親ともに寝不足でフラフラになり、しまいにはうつって一家全員ダウンする有様。
 娘のかかりつけの小児科医に「両親共にフルタイムで働いており、デイケアも病気の子供は預かってくれない。頼める親、親戚もいないし、仕事も休めない。頼むから何か薬を出してほしい」と何度お願いしても「産まれて最初の1年は病気がつきもの。デイケアに行っている子は特に。薬は必要ないので安静にしていれば問題ない」と取り合ってくれない。
 確かに薬ばかり飲んで抵抗力が無くなっても困るので、これまではこの小児科医の方針にある程度納得していた。しかし、さすがに誰も具合が悪くない上に、込み合うテーマパークにも行っていないのに同じ症状の風邪を2度も引くのはおかしい。
 ひっきりなしに激しく咳き込み、高熱のためだるそうな娘を見ていると、ふと小さい頃の弟を思い出した。
 当時10歳くらいだった弟は突然腹痛を訴え、病院に連れて行くと「盲腸」と診断された。しかし玉のような脂汗をかき、お腹を押さえて転げまわる弟を見た父は以前自分が腹膜炎になった経験から医者に再度診察するよう頼んだ。しかし医者はあくまでも診断を変えない。
 見かねた父はすぐに別の病院に連れて行き、担当医に「腹膜炎を起こしています。あと1日来るのが遅かったら手遅れになっていたかもしれない」と言われた。幸いすぐに手術をしてもらい、事なきを得た。
 このことが頭をよぎったので、知人に紹介してもらい、別の医者へ連れて行ったところ「ぜんそくの一歩手前です。抗生物質と他にも薬を出しましょう」と言われた。薬を飲んだ娘は少し楽になったようで寝息を立てている。
 今回の件がよかったかどうかは分からない。しかし、子供には親しかいない。親の責任の重さをかみ締めた一日だった。【下井庸子】

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