お盆休み明けの日本と、二世週祭明けのロサンゼルス。お祭り気分の余韻を残しながら迎えた週明け。職場に向かう足取りはいずこもやや重い感じ、かな。それでも、地震、津波、原発事故の大惨事に見舞われた人々の生活を考えれば、生ぬるいことは言っていられない。
 東日本大震災から半年近く。復興に懸命な日本を支援していこうという気持ちが強く表れた今年の二世週祭の諸行事。パレード音頭に採用された「愛は勝つ」は被災者への愛と応援のメッセージ。日本でも各地の盆踊りや夏祭りで、踊り、歌われ、今夏の隠れたヒット曲に。
 被災者支援の義援金集めも頻繁に行なわれた。例えば、日本人美容師らによる街頭での無料ヘアーカット。一人10ドルの寄付金を募り、全額が被災地に送られる。時間帯によっては順番待ちの列が出来るほどで、「被災者のために、自分ができる範囲で何かをしたい」という人々の優しい心根がうれしい。また、多くの展示会場では募金箱が備えられ、二世週祭に合わせて開催された「ロサンゼルス七夕祭り」や「世界幸福祈願の祭典」などでも犠牲者を悼み、復興を応援する力強いメッセージが伝えられた。
 それぞれの「日本を応援したい」という思いが一つになり、太平洋をまたいで太い絆が生まれてきている。コミュニティーのまとまりに欠かせないお互いを思いやる心が、こうした祭りのイベントを通して確実に育まれていると実感。
 ただ、71回目を迎えた長い伝統を持ちながら、パレード進行は間が空きすぎて旧態依然としたままだとか、知名度抜群のラソーダ元ドジャース監督をパレードマーシャルに迎えて二転三転したパレードルート、ノグチプラザでのショータイム・スケジュールの当日になっての発表など、改善点はまだまだ多い。
 運営役員らがボランティア精神でがんばっていることに敬意を持ちながらも、祭りを見物する側はなかなか舞台裏まで神経が回らないのが普通。だから、そうした人たちをも満足させ、喜ばれる祭りのあり方、運営方法などイベント・プロを交えて真剣に考えなくてはならない時にきているのも事実だ。【石原 嵩】

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