随分と昔、まだ僕が中学生だったころ、一番下の叔父から「街頭インタビューなんかで『どんな政治家を望むか』と聞かれたらなんと答える」と尋ねられ、頭をひねったことがある。
 たいした答えはできなかったが、「そんな時は桃太郎を例に出したら良いぞ」といわれた。うろ覚えだが、たしか「(桃太郎のように)正義感と主導力があり、(犬のように)忠実で、(猿のように)素早い判断/行動力、(キジのように)自由な(発想を持つ)人」だったと思う。
 日本では野田氏が新首相になったが、何が変わったか、また何が変わるか。任期はあと1年ほどだが、誰が首相になってもたいして変わらないだろう。前の例ならばここ5年ほどの首相、「主導力、正義感はなく、国民ではなく党派・派閥に忠実で、素早い行動や決断は保身のみ、先例にとらわれぬ自由な発想はほとんどないし、あっても反対派から叩かれる」となる。
 それなりに一所(生)懸命やってはいるが、如何せん他の党派・派閥が足を引っ張る状況が続き、国政が七転び八転び(七転び八起きでもなく、七転八倒でもない)状態。それはここアメリカでも同じ。大統領に選ばれたということは国民がそう望んだわけだが、「国民はそう望んでいない」とのたまい、足を引っ張る政治家がいるのは困ったもんだ。「反対!」に注ぐ精力の一部でも真剣に国政に回せば、今ごろアメリカは(もちろん日本も)もっと住みよい国になっていることだろう。
 話は変わるが、なぜ桃太郎だろう。暇にまかせ金太郎や一寸法師だとどうなるか考えてみた。
 金太郎は「野性味豊か、力強く、目下に優しい」となるかな。インパクトがありそうだ。一寸法師は「体は小さくても志はでかい。機転が利く。自分が何を望んでいるかはっきりとしている」。どちらも一匹狼タイプか。となるとやっぱり桃太郎が妥当かな。
 今どき、はっきりと目に見える鬼はいないし「きびだんご」も流行らないが、「この人は」といえる桃太郎が出てくることを願っている。【徳永憲治】

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