カリフォルニア州の査定機関は3日、同州を南北につなぐ高速鉄道計画は、財政難に直面する加州にとって経済的に妥当とは言えず、計画を保留にすべきだとする調査結果をまとめた。
 報告書では、昨年11月に当局が承認した第1期工事区間の建設に27億ドルの州債発行を許可すべきではないとした上で、サンノゼからベーカーズフィールドまでの290マイルの区間と、マーセドからサンファナンドバレーまでの300マイルの区間で、約250〜300億ドルの総工費がかかることを高速鉄道当局はきちんと見積っていなかったことを指摘。
 さらに、当局がこの2つの区間のどちらを第1期工事区間にするかも正式に決めていないことや、事業計画自体が完成していないことなども批判した。
 2008年11月に行われた住民投票で90億ドルの州公債発行が承認されて以来、同計画の総工費は膨れ上がり、現時点では当初の見積もりの2倍以上に当る980億ドルとなっている。
 これに対し高速鉄道当局は、ほかの大規模なインフラ計画においても、初期段階では資金源は完全に確定しておらず、報告書の内容は連邦政府からの35億ドルにも及ぶ助成金給付を妨げるものであると主張。
 カリフォルニア労働者組合も、高速鉄道計画は大規模な雇用創出が見込めるため、着工を遅らせるべきではないと訴え、報告書の内容を批判した。しかし高速鉄道当局は当初、同計画でおよそ100万人以上の雇用創出が見込めるとしていたが先月これを撤回している。
 こうした不透明さが増す中、先月フィールド社が発表した世論調査によると、有権者登録をした加州住民のおよそ3分の2(64%)が再度、住民投票が行われることを希望し、再び投票が行われた場合は54%が計画に反対票に投じると答えていることが分かった。住民投票が行われた08年当時の世論調査では53%が賛成、反対は37%と賛成多数だった。
 予算が当初予定していたより2倍に膨れ上がり、完成予定年度も26年から33年まで延長されるなど、当初の予定が大幅に変更されたことが同計画への反対要因につながったとみられている。
 こうした事態の中、党派を問わず州議員の間でも高速鉄道計画を考え直すべきではないかとの意見がでている。
 加州のダグ・ラマルファ上院議員(共和・リッチベール)は、加州には高速鉄道計画を実行するだけの資金力がなく、実際の総工費は収益を上回るとして、有権者にもう一度同計画への是非を問う機会を設けるべきだとしている。
 高速鉄道計画は最新技術を駆使し時速220マイルでサンフランシスコからロサンゼルスを通りアナハイムまでを結ぶ計画。当初は全線開業時期を20年に設定していたが、26年になり、さらに33年と13年先送りになった。  

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