

10年ごとに実施される市議会区境界線の再編成で22日夜、再編成委員会の会議がロサンゼルス市庁舎で開かれ、8時間におよぶ公聴会と議論の末、先週発表した草案の改訂版を市議会へ提出することを16対5で承認した。市議会はこの地図をもとに7月1日までに最終決断を下すが、ジャン・ペリー、バナード・パークス両市議をはじめコリアタウンの代表は、地図作成の過程に違法性があったとし、訴訟を検討している。
計22回の公聴会で集まった5000件以上もの市民の意見をもとに、再編成委員は15日に草案の改訂版を発表。それによると、小東京をはじめスキッドロウやサウスロサンゼルス、シビックセンターなどは1月に発表された当初の草案同様、ボイルハイツやイーストロサンゼルスを管轄区に含む14区に吸収されたままとなり、9区残留を希望したコミュニティーの声は反映されなかった。
22日のミーティングには、開始の1時間前から多数の市民が列をなし、市議会区割り再編成への関心の高さを伺わせた。9区のペリー市議と8区のパークス市議、小東京からはクリス・駒井さんら数人も出席し、それぞれ「委員は過ちを犯している」「市民の意見を聞いていない」「小東京は9区に」と語気を強めた。

長年にわたり複数の市議会区に分けられてきたウィルシャーセンター・コリアタウン地区は、一貫して「13区にひとつにまとめて」と訴え続けてきた。公聴会では、十代の若者から90歳代の高齢者など多数が最後の望みをかけ地域の声を訴えたが、草案で同地区がひとつの区に収まることはなかった。
一方、ウエストロサンゼルスを管轄区に含む11区から、クレンショー地区などを含む8区に吸収される形となっていたウエストチェスター地区は、改訂版でハイウエー405号の西側が11区に戻った。しかし8区のままとなった405号の東側の住民から反発の声が上がったが、こちらも線引きが変わることはなかった。
午前0時前、投票を前に市長や市議から選出された21人の再編成委員は、それぞれドラフト地図について意見を述べ、5区代表のデービッド・ロベルティ委員は、「全体的にバランスが取れている地図と思う。ただ、コリアタウンに対しては自責の念にかられている。再編成は政治的過程。同地区の声が届かなかったのではなく、政治的力が足りなかったのだと思う」と振り返った。
9区代表のデービッド・ロバーツ委員は、9区残留を訴えたサウスロサンゼルスの意向がかなわず残念であると述べるともに、地域の一体化を訴え続けたコリアタウンに敬意を示し、今回、同地区の力や存在に気付かせてくれたと述べた。
11区代表のロブ・カドタ委員は、再編成の過程は多くの「勝ち負け」があったといい、コリアタウンはじめ、アジア系や英語を第二言語とする人たちの目的を果たすことができなかったと悔やんだ。
14区を代表するアントニオ・サンチェス委員は、「同地図に反発する人もいるが、喜ぶ人もいる。ダウンタウンをはじめ、多くのコミュニティーを一体化させることができた」と述べた。
草案承認を受け韓国系同盟(KAC)のグレース・ユー代表は、「公聴会は見せ掛けでしかなかった。委員は意見をえり好みしていた」と、市民の声が反映されなかったことに反発、草案作成の過程に違法行為があったとし、現在、韓国系弁護士協会(KABA)と協力して訴訟の準備を進めている。また、ペリー、パークス両市議も訴訟に向けすでに弁護士と話し合いを始めており、「われわれの市議会区を取り戻せるまで戦い続ける」と述べ、小東京の団結にも感謝した。
市議会区境界線は、区を代表する市議選出にかかわるため、各15区の人口が均等になるよう10年ごとに再編成する必要がある。詳細はホームページで―
www.redistricting2011.lacity.org
【中村良子、写真も】