薄く切ったホタテとトマト、マスタードオリーブオイルソースを使ったカルパッチョ
 北海道漁業協同組合連合会は、特産品のホタテの販売促進の試食会をこのほど、ウエストロサンゼルスの和食店「寅福」で開いた。同漁連営業部長の加瀬隆さんが来米し、地元メディアを相手に、他の地方産では味わえない北海道産独特の甘みや食感のよさなどのおいしさを伝えた。
中国、台湾系メディアの取材を受ける北海道漁連の加瀬隆さん(右)
 加瀬さんは、北海道産のホタテの最大の特徴として「水分が少ないので、味が凝縮されている。世界に自信を持って紹介できる」と強調。「日本には刺身の文化があるが、米国にはさまざまな食べ方があるので、アレンジしておいしく食べてもらいたい」と希望した。
 この日出されたホタテを使った料理は、チャウダースープ、カルパッチョ、季節の野菜ソテー、炊き込みご飯の4品で、さまざまな人種のグルメが住むロサンゼルスらしく、和食材のみならず、現地の食材とともに調理され振る舞われた。
 料理は、寅福・播川哲也さんと、ブレントウッドの和食店「TAKAO」の出水田孝男さんが考案し自らが調理。ベテランの両オーナーシェフは、和の伝統に重きを置きながら、和食以外の食材も取り入れ、独創するスタイルを同じくする。
 2人は、プロの視点から北海道産のホタテについて説いた。播川さんは「生で食べても甘みを楽しめるが、火を通した半生やソテーもいいし、唐辛子やバター、椎茸など他の野菜と和えてもいい」と、工夫次第でさまざまな食べ方ができるホタテの多様性を強調。
大きなホタテが入った炊き込みご飯を振る舞う播川(左)、出水田の両シェフ
出水田さんは、現地産「スケロップ(ホタテ)」と北海道産の違いについて「(値が張り)桁違いだが、北海道産は甘みが強く全然違う。ローカル産はフレッシュだが、ゼリーを食べているようでコクや甘みが違う」。「シンプルな味なので、どんな料理にも合うので、使い方は無限にある」とし、その調理法は「生で食べてもおいしいし、火を入れれば入れるほど甘みが増す」と説明した。
 漁連による販促は、中国、香港、台湾、シンガポールなどで行っており、今回が初という米国は世界での販促の一環。北海道産のホタテの3割が輸出され、その主体が米国であるため重要国ととらえている。加瀬さんは、ロサンゼルスで試食会を開いた理由を「日本文化が少し浸透しているので選んだ。(今後は)カリフォルニア、西海岸を拠点に東海岸で行い、全米に広げたい」と、巨大消費地でPRを展開する。
 海の幸の宝庫「北海道」の名は、ブランドとして国内はもとより、近隣のアジア諸国でも確立しているが、米国では無名。高級品として、今後のブランド、イメージ作りについて「われわれが、まじめに生産・加工(とれ立てを急速凍結)し、流通、販売に至るまで品質管理し、おいしいホタテを届けていることをアピールしたい」と述べた。寅福の他、トーレンスのマルカイと海鮮料理店でもキャンペーンを行い「想像以上に反応がよく、びっくりした。これを機にさらにみなさんに伝えたい」と力を込め、さらなるキャンペーンに意欲を示した。【永田潤、写真も】
各種のホタテ料理。写真右上から時計回りに炊き込みご飯、唐辛子とのり、季節の野菜ソテー

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