性犯罪者の氏名や住所公開を義務づける「Megan’s Law」は広く知られるようになったが、ここ最近、動物虐待者に対しても同様に情報公開を義務づける地方自治体が増えている。
2010年、ロングアイランドのサフォーク郡で全米初となる動物虐待者登録(Animal Abuser Resigtry Website)が始まって以来、翌年にはニューヨーク州ロックランド郡と同州アルバニー郡で同様な条例案が可決。現在、フロリダ州やメリーランド州、アリゾナ州、ミシガン州などでも動物虐待者の登録と情報開示を求めた法案が続々と提案されている。
同案の支援団体である「Animal Legal Defense Fund」は、連続殺人犯や凶悪犯罪者などが過去に動物虐待をしていたことが多いことから、「動物を守る目的だけでなく、動物虐待者を厳しく取り締まることで、その残虐な行為がさらに凶悪な犯罪へとエスカレートすることを防げる」と、規制強化の必要性を強く訴えている。
加州では、2010年に可決されたものの、州司法省が提示した登録サイトの運営費見積もりが、年75万ドル~200万ドルと高額なことから、多額の負債を抱える同州では施行に至らなかった。
またコロラド州では、運営費の高さ(同州では年16万ドル)に加え、「性犯罪者や飲酒運転者への規制よりも厳しく、動物虐待者が不当に扱われる可能性がある」との反対意見が多く否決された。
物心ついたころから動物を愛する一人として、動物虐待に対する取り締まり強化はとても喜ばしい。ただ、幼児虐待にも同じことが言えるが、何をもって「虐待」とするのかの線引きをしっかりとした上で、自分で自分の身を守ることができない動物のために、社会で共存するわれわれ人間が彼らの声を代弁してあげなければいけない。
つい2週間前にも、サウスロサンゼルスの業務用ごみ箱から2匹の切断された犬の頭部が発見されたばかり。犯人は捕まっておらず、ジャン・ペリー市議とポール・コレツ市議は、犯人逮捕につながる有力な情報提供者に2万ドルの懸賞金を付けた。
加州での法案施行は実現しなかったが、犯人逮捕の際には、厳しい処罰を下してほしい。【中村良子】