オバマ大統領のホームタウンであるばかりに、G8とNATO首脳会談という2つの国際会議開催地に選ばれたシカゴだったが、G8だけはキャンプ・デービッドに変更されてヤレヤレと思ったのもつかの間、60カ国の代表が参加したNATO首脳会談は予定通りシカゴで開催され、結果的にはデモで40人余の逮捕者は出したものの生死に関わるような負傷者も出さず、建物などの破壊行為もなく、まずは無事に終了。
たった3日間の会議のために何が大変だといって一万人を予想されたデモ隊や騒ぎに便乗するであろうテロリストを見込んだ警備体制である。
ダウンタウンと近郊を結ぶ通勤列車は停車駅を大幅に減らし、コンピュータを含む手荷物は制限され、食べ物や飲料水の持ち込みも禁止。オヘア国際空港と会場を結ぶ高速道路は各国代表が到着するたびに閉鎖されたり開通したりで、週末勤務を予定していた人々はダウンタウンのホテルに泊まりこむか出勤を諦めて休日を自宅で過ごした。
会場近くの主要道路は閉鎖され、多くのビジネスは臨時休業。4月中旬からの警告が行き届いたためか、ダウンタウンにあふれたのは予想を下回る3000人余のデモ隊と、警備のシカゴ警察官と報道陣だった。
会議の主要議題は、国際治安支援部隊のアフガニスタンからの撤退とその後の同国への支援。これに対する全米から集まったデモ隊の主張は支援部隊の即刻撤退に始まって、反核、世界平和、失業率の改善から教育予算削減反対、看護婦組合の待遇改善とバラバラ、中には仮装行列かカーニバルに見まがう一団も混じり、お祭りでもあるまいに、果たして主張が各国首脳に十分に届いたかどうか疑問…。
日曜の午後は90度を越す暑さにテンションも上がり、デモをやるからには警官との小競り合いや衝突があって当たり前という感じのいざこざが多く、逮捕されるほうも英雄気取り。夜になって降り出した雨でその熱も冷まされた。
月曜の夜は参加国代表も帰国、デモ隊もまたバスに分乗してそれぞれの街に帰り、後は片付けられるのを待つコンクリートのバリケードばかり…。【川口加代子】