人がまばたきをして目を閉じるのは、世の中に存在する不快なもの、見たくないものを少しでも見ないで済むようにするためである。—以前、こんな粋なコメントを読んだことがある。でも実際はそんな理由ではないようで、インターネットなどで検索してみると、もう少し論理的に説明がされている。
まばたき本来の仕事は目が乾燥しないよう涙で目の表面を潤したり、ゴミを取り除き傷つかないよう目を保護することにあるとのこと。これらは無意識のうちにおこなっているが、それ以外にもウインクなどのような意識的にするまばたきもあるようだ。
人間がどのくらいこの行為をしているかというと、1分間の平均は、大人の男性で20回、女性で15回程度であり、1回に要する時間は大体、0.3秒なので、大人の男性では1分間に6秒、つまり起きている時間の10%ほどは目を閉じていることになる。
10%も目をふさいでいるのなら「見たくないものを見ないで済むようにするため」という理屈もまんざら外れているともいい切れないかもしれない。
会話中にまばたきが多い人は、本当はこちらをまともに見るのがつらいという心理状況下にあることが多いのだそうだ。まばたきを増やすことで自分の中の緊張や不安を解消しているのだろう。
また、まばたきをしている時は脳の思考が停止するのだとか、だから見たくないものについて考えなくても済むという理屈も理にかなっている。
以前、国会の党首討論のとき、野党党首と対峙した時の首相はなんと1分間に100回前後もせわしく目をまたたいていたとニュースで流れた。これでは頭の中の思考は止まってしまっていたのではないだろうか。
意識的にするまばたきの代表格であるウインクに「天使のウインク」がある。天使に見つめられ片目を閉じられたら、私など目を開けていられないほど緊張するのではないだろうか。この場合は「見たくないものを見ないで済むように」とは正反対になるわけで、どのように説明すればよいのだろう。
「天使のウインク」をいまだ夢見ている私は救いようがないかもネ。【河合将介】